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八百屋さんで買ったチョコレート
こんにちは、ショコラリスト®︎サユリです。
私は1ヶ月に2キロのチョコレートを食べています。
今回は、ごく個人的なチョコレートの思い出について綴りますね。
そもそも、私とチョコレートとの出会いは、4-5歳頃に遡ります。自分ひとりでお買い物に行った時に買ったので、おそらく、それくらいの年齢です。
田舎町の祖父の家に遊びに行った時でした。
祖父は町に一軒しかない産婦人科を開業していて(私もそこで生まれました)、その3ブロック先には町に一軒しかない八百屋さんがありました。
その八百屋さんは、野菜だけでなく、袋に入った玉うどん(子供たちはペロと呼んでいましたっけ)や醤油や味噌や、ちょっとした生活に必要な雑貨も売っていたのです。
まさに八百屋というか、八百よろずの物を小さな店先で売っていました。ザ・昭和といった八百屋さん。たぶんボンカレーも売っていた、かもです。
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ある日、祖父の医院に妊婦が駆け込み、お産が始まりました。産婆も兼ねていた祖母はてんてこ舞いで、私にお金を渡して八百屋で買い物をしてくるよう言ったのです。余分にお駄賃をもらったので、それで好きな物を買ってもいいと。
私はお金を握りしめ、自分に与えられたミッションを遂行するべく、3ブロック先の、町に一軒の八百屋に出かけました。
買い物はごく簡単なもので、あっという間に済みました。残ったお駄賃で、さて、何を買おうかなと店内を見まわしたところ……
素っ気ない木の棚に、何やらそこだけ洒落た舶来の空気が漂っていたのです。そこには黄色い三角柱のパッケージが並んでいました。不思議すぎます。おおよそ八百屋にあるべきではない、何か特別でエレガントな物だと直感しました。
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幼い私は、それがチョコレートなのかも分からず、その素敵な何かをお駄賃で買って帰りました。
祖父と祖母は、自宅敷地内の医院の方で、今まさにお産でバタバタしています。まだまだ時間はかかりそうです。
私は誰もいない茶の間で、買ってきたばかりの三角柱のパッケージを開けました。どこから開けて良いのか、少し戸惑いました。
出てきた三角形の連なる形のチョコレートにも戸惑いました。おそらく、子供には食べづらい形状だったのでしょう。ゴツくて固い印象もありました。
櫛のようにも見えるし、
ゴジラの歯かもしれないと思いました。
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そのチョコを食べた時、美味しいというよりも、不思議な、異国的な、日本にはない味わいを感じました。チョコに練り込まれたヌガティンも、当時の日本人が作らない、何か不思議な細工のように感じました。
それが私とチョコレートとの初めての出会いです。
チョコレートって、外国から来た、日本にはない不思議な食べ物で、魅惑的で、特別な物で、何よりも三角形なんだと思い込んでいました。そして何となく、これは子供の食べ物ではなく、大人が飲む苦いビールのような秘密の味だとも思い込んでいました。
トブラローネというスイスから輸入されたチョコレートだということは、ずっと後になって分かりました。三角形なのは、スイスのマッターホルンを模しているということも。
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もちろん、当時も明治ルックチョコレートとか、キョロちゃんのチョコボールがあって、どこかでそれらを食べてはいたのでしょうが、初めてのチョコレートとの出会いといったら、私にとっては、八百屋さんで買ったトブラローネなのです。
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最近、輸入食料品店で、大袋入りのアソートパックを見つけ、懐かしくて買ってみました。小さいバイトサイズだけど、やっぱり三角で、チャリチャリとした細工のヌガティンが練り込まれていて、あ、これは日本ではあまり一般的ではない歯触りと味だなぁ、と思いつつ頂きました。
食べやすいサイズ感で、幼い頃の私のお口には、こちらの大きさの方がちょうど良かったかも。今なおエキゾチックなマッターホルンを思わせる三角形のチョコレートを、少女時代にワープして味わったのでした。
いったい、なぜトブラローネが八百屋さんで売られていたか、今でも謎のままです。わたしとの出会いを強烈に印象づけるため、神さまが仕組んでくれたのでしょうか。
お読み頂き、ありがとうございます。
チョコレートって不思議な食べ物ですよね。
永遠に魅惑され続けている私です。