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昆布巻の中身。

季節の行事は嫌だと言いながら、
子どもたちのリクエストに応えて、
昆布巻を作る。

それ用の昆布とかんぴょうは、
ちゃんと買っておいたのだ。

子どもの頃、
私の母が作っていたもの以外の昆布巻は
嫌いで、絶対に食べなかった。

買って来たものや、頂き物などは
食べなれない中身で(鮭とかニシン)
いつもがっかりした。

私にとって、昆布巻は牛肉入り、
かつ、母が作ってくれた、の
一択なのである。


自分で作る時も、もちろん牛肉。
でも、母の味にならない…

何かが決定的に違う。
そして、美味しくない。

昆布巻は、ある程度経験を重ねないと、
美味しく作れないもの。

と、思い込んでしまった。

しばらく作らない期間があり、
久しぶりに作ろうと思って、
見つけたレシピが、
これまでの、美味しく無かった理由を 
教えてくれた。

牛肉は、絶対に和牛を使うこと!

牛肉の味の違いなんて、分からないと思い、
国産牛を使っていたのだ。

指定通り、和牛の切り落としを使ったら、
母が作っていた味になった。
和牛の風味は、他の牛肉では絶対に出ないと、
この一件で良く分かった。


私ってば、違いが分かる女だったのね…

これから圧力鍋で加圧


それ以来、ほぼ毎年そのレシピで
昆布巻を作っている。

子どもたちは、
私の子どもの時と同じコトを言うのだ。

お母さんが作ったの以外の昆布巻は、
食べたいと思わない。

お節、というよりは、
普通に、作り置き、夕飯の一品、
そんな感覚でいる。

昆布も和牛も、1年中ある。
いつでも作れるのに、作るのはいつも
この時期なんだよなぁ…

母は、切り落とした両端を

"ここが1番美味しい"

と、そこばかり食べていたなぁ。


母は昨年亡くなってしまったけど、
料理の記憶と共に、
時々フッと思い出すと、
母に会えたような気持ちになる。

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