王羲之の思い出 :: 浮丘帖
中学生の時、王羲之の書にハマッた。
キータン少年は、蘭亭序が大好きで、来る日も来る日もそれを手本に手習いをしていた。
あるとき実家に蒔田やよひおばちゃんが遊びに来た。
私の部屋に来て、「筆貸して・」と言って半紙にさらさらと和歌を書いては、それを丸めて屑籠に入れた。4回ほどそんな動作をした後、キータンの方を見て言った。
「書をかくときは、その字がどのような成り立ちでその形になったのか想いながら書きなさい」
当時、キータンはおばちゃんの言う意味が理解できなかった。
それを想えば、王羲之のような書を書ける様になるのか、と浅はかにも思ってしまった。
高校になって書道部に入り草書部門で賞をもらったりしてテングになっていた。
で、ある日、ふと自身の書きちらした書を見て・・無性に恥ずかしい感情がこみ上げてきた。
自分が半紙に書いていたのは・・王羲之のマネであって、形だけをなぞった中身の無いものなんだ・・・と
自分は「書」ではなく「恥」をかいていた。
以後、書の勉強をやめてしまった。
今なら、何がいけなかったのか、おばちゃんの言っていた事の意味が痛いほどわかる。
サルまねでは無く、自身を筆に込め、自分自身の世界を求めて創るべきだった。
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