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春夏秋冬のはなし

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‪(*´◒`*).。o○春夏秋冬をテーマにした小説
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#季節

秋ナスは嫁に食わすな

秋ナスは嫁に食わすな

 秋ナスは嫁に食わすな、なんて言葉があったか。あれは確か、姑からの嫁いびりの常套句みたいなものだったな。

 夜勤明けの疲れた脳でぼうとそんなことを思う。もっとも僕には妻はいない。最近付き合い始めた彼女はいるが、秋ナスがそんなに美味しいのなら僕は彼女にたらふく食べてほしいなと思う。僕より年上の彼女は、僕よりたくさんの美味しいものをとっくに知っているかもしれないけれど。

「自分の浮かれ具合がうかが

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浮かれたくなるから沈んでいくの

浮かれたくなるから沈んでいくの

 薄手のコートを出して、黒のダッフルコートはクリーニングに出した。四月になって、吹く風はまだ冷たいけれど町は確実に春だった。
 一昨日見た満開の桜は美しかったし、柔らかい日差しを浴びながら飲むカフェラテも美味しい。それなのに、僕ときたら今日死のうが興味もないような顔でコーヒーショップで一人座っているのだ。

 広げた本を読むでもなくぼうとしていた僕の耳に鈴の音が聞こえて、待ち人の来店を知らせた。

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たまに振り返って、歩いて

たまに振り返って、歩いて

 外に出ると雨はもう止んでいた。九月に入って夜はよく冷え込むようになった。カーディガンを羽織ってローソンに向かうと、肌寒い風が身体をさあとすり抜けていった。

 歩く道すがら、スマホを取り出して加奈子にメッセージを送る。

「風が涼しい。散歩が気持ちいいよ」

 
 加奈子と付き合ってから三ヶ月が経つ。散歩が好きな加奈子はよく、今時期ぐらいが好きだと話す。しばらく散歩を続けようとローソンを素通りし

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まったく嫌な六月だ

まったく嫌な六月だ

 梅雨が明けたとニュースが言った。雲の流れが速くなり、空の顔色はすこぶる良さそうで、反比例するように紫陽花はその鮮やかさを失いつつある。

「もう、一年の半分終わっちゃうよ」

 絵の具で塗りたくったような青空を見上げながら、瑠衣が言った。

「寂しいな」

 言葉とは裏腹に、少しだけ高揚したような声音で瑠衣は続ける。
 僕はあえて少しだけ呆れた顔を作って、ため息混じりに応える。

「寂しいかねえ

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五月の景色に君を見る

五月の景色に君を見る


 降り注ぐのは太陽の光で、真夏日のような暑さの中を僕と高部は歩いていた。

「どのバスだっけ」

 僕が問うと、高部は無言で自分のスマートフォンを差し出した。

「じゃあ、あっちの乗り場だね」

 僕が右手を指さす。示した方向に、高部が歩く。二十二歳。同い年の女友達と比べて、高部はやたらと無口だった。それでも、僕と高部が付き合うことになったのは、なんというか気まぐれだったのだろう。高部の。

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