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コミュニティと界隈の違いは縁(ふち)の有無

社会における人々の集まりやつながりを表現する言葉として、「コミュニティ」と「界隈」という近い意味のものがあります。界隈は最近こちらのリサーチでも話題にもなりましたね。

一見似たような概念に見えますが、実際にはその特性に違いがあります。その違いを生み出している要因の一つが「縁(ふち)の有無」です。この概念を起点に、それぞれの特徴を考えてみたいと思います。


縁があるコミュニティと縁のない界隈

コミュニティの特徴はその明確な縁(ふち)です。この縁は物理的な境界であることもあれば、精神的なものである場合もあります。たとえば、趣味のグループなどを思い浮かべれば、参加の意思表示や条件を満たすことで初めて加入できる場合が多いでしょう。このようによっこいしょと縁をまたいで「加入する」というプロセスが、メンバーに一体感や帰属意識を与えます。加入した瞬間から共有される目的や価値観が、そのコミュニティをより強固なものにするのです。

一方で、界隈には明確な縁がありません。特定の趣味や話題に興味を持つ人たちが、SNSやウェブサイト、あるいはリアルな空間で自然と集まることで形成されます。たとえば、「筋トレ界隈」「DIY界隈」といった形で、興味関心に基づいて緩やかにつながるのが特徴です。そこに入るための条件や手続きがないため、いつの間にかヌルッとその界隈の中心部にいることもあるし、界隈の中心が移ろうなかで置いていかれることもある。界隈では、このような自由でときに無自覚な出入りによって緩やかに形成されているのです。

熱量と情報の動き

コミュニティの縁は、その内側に情報や熱量が蓄積されやすい環境を作ります。メンバーが共有する目的や価値観を通じて熱量が高まり、深い議論や活動が可能になります。この熱量の高さが、コミュニティが長期的に継続し、メンバーが居続ける理由の一つです。閉じた環境ゆえに外部との交流が抑制されることもありますが、その分、外に出た情報はボールプールから溢れたボールのように一定のハードルを超えた目立つ存在となることもあります。また、コミュニティ内では蓄積された経験や知識が長期的に保存され新参者や次世代にも受け継がれやすいという特徴もあります。

一方で、界隈は縁がないため風通しがよく、外部からの情報や熱量が自由に出入りします。この特性により、急速にある話題が広がることがあり、瞬間的な盛り上がりを見せることもあります。SNSでのトレンドやバズがその好例でしょう。しかし、縁がないがゆえに情報も熱量も蓄積されずに分散しやすく、持続的な活動や深い議論が生まれにくいという特徴もあります。一方で、界隈の柔軟性は新しい視点や外部のアイデアを取り込みやすく、斬新なカルチャーや創造性を育む場となることも多いものです。

それぞれの形態が生む価値

このように相反する特徴を持つコミュニティと界隈は、それぞれ異なる価値があります。コミュニティは、長期的な関係性や深い学び、協力を必要とする場に向いています。たとえば、専門知識を深めるための研究グループや、趣味を追求するサークルがこれに当たります。コミュニティ内での成功体験や相互支援が、メンバー同士の結束を強化していきます。

一方で、界隈では流動的で柔軟なつながりが生まれます。そのため、特定の話題やトレンドについて幅広く情報を共有し、新しい情報やアイデアを得るには最適です。界隈で得られる盛り上がりや広がりが、新しいトレンドの種になることも少なくありません。

私たちは日々様々なコミュニティに所属し、界隈を漂いながら生きています。自分がコミュニティや界隈を通じてどんな熱量、情報、つながりに触れているのかを考えてみるのも面白いと思いますよ。



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黒田悠介@ Commune Community Lab 所長
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