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「1%の改善を365日続けると」のウソとホント
1%の改善を365日続けると、その効果は37.8倍になる!
と、まことしやかに言われています。たしかに1.01の365乗はだいたい37.8になるので、計算上は正しい。
ちなみに1日に1%ずつ衰えていくと0.99の365乗で0.03となり、1年後には現在の0.03倍になってしまう、という表現もよくセットになっています。
でも、どんなに頑張っても改善には限界があります。たとえば、フルマラソンを4時間で走る人が、1年後に7分で走破するようにはなりません。
37.8倍というのは指数関数的に「発散」していく発想です。でも、ヒューマンスケールなものごとはたいてい何かが制約となってなだらかに「収斂」していくものです。
マラソン選手にとってはその身体が制約となっています。同じように、どれだけタイピングの練習をしたとしても、毎年37.8倍早くタイピングができるようになったりはしませんし、年収が37.8倍になったりもしない。
だからといって、改善の努力はムダである、ということではありません。その収斂していくなだらかな成長を、少しずつでも積み重ねていくことはできる。それは0.0001や0.000001のようなちいさな1かもしれませんが、確実に達成し、進んでいるわけです。
日々の小さな達成は well-being を構成する重要な要素の1つです。それに、最近はそういった一歩一歩の前進をコンテンツとして、もしくは共同作業として楽しむプロセス主義的な考え方も受け入れられるようになってきました。また、そういったごくわずかな差が人を感動させたりするもこともあります。
1.01を365回かけあわせて37.8倍、なんて乗算の計算通りにはなかなかいかないのが世の常人の常ですが、それでも日々の小さな加算そのものに意味があるんじゃないか、と思うのです。
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