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「熱量の連鎖反応」がコミュニティで起きる理由を図解します

コミュニティの根本的な価値の1つは熱量の連鎖反応です。あるメンバーの熱量とそこから生じるアクションに触発され、他のメンバーの熱量が高まっていく。さらにそのメンバーの熱量がまた別のメンバーを触発し…とくり返されるされることで波及していくのです。

ただ、このことを言葉だけで伝えるには難しさがありました。抽象的すぎてイメージが膨らみにくいのです。そこで、今回はこのマガジンがコミュニティの理解を深める一助となれるよう、熱量の連鎖反応を図解してみようと思います。

それではいきましょう!



コミュニティのモデル化

今回は話をシンプルにするためにオンラインコミュニティにおける熱量の連鎖反応に話題を絞ります。以下の図をご覧ください。

これは、オンラインコミュニティで起きることをとてもシンプルにモデル化したものです。あるメンバーが何かを投稿すると、そこに他のメンバーからコメントがつき、リアクションもついていく。もちろん他にもユーザー間の1on1でのコミュニケーションや運営者による一方的なインフォメーションなどさまざまなやり取りがありますし、プロジェクトやイベントなどもコミュニティに欠かせない要素ですが、熱量の連鎖を説明する上では必須ではないので意図的に省いています。

この「投稿→コメント→リアクション」というシンプルなコミュニケーションがいかに熱量の連鎖反応につながっていくのかステップを追って見ていきましょう。


きっかけは1つの投稿

まず、あるコミュニティでAさんが投稿をしたとします。例えばある調理家電のコミュニティだとすると「肉じゃがを作ってみました」というような投稿が写真付きでされるイメージをしてください。Aさんがまずはその熱量を投稿というカタチで表出してくれている段階です。

しばらくすると、Aさんの投稿に対してコメントがついていきます。例えばBさんは「私もつくってみよう」、Cさんは「美味しそうですね」とコメントしてくれるイメージです。Aさんの熱量がトリガーとなってBさんCさんがアクションしてくれたわけです。そして、DさんEさんはコメントはしないまでも投稿に対してスタンプを押してリアクションをしてくれています。


熱量が熱量を引き出す

これだけでもコミュニティに一時的な熱量が生まれ、お互いに触発し合っている状態が生まれていると言えます。しかし、その熱量はおそらくしばらくしたら消えてしまうかもしれません。コミュニティの面白いところは、これで終わらないところです。

Fさんは、Aさんの投稿をきっかけとした一連のやりとり(黒枠内)を見ていました。調理家電の使い方にまだ慣れず、活用しきれていなかったところにAさんの投稿を見て、家にちょうどあった食材で肉じゃがを作ってみた様子を投稿した、というストーリーをイメージしてください。FさんはきっとAさんの投稿がなかったらこうした投稿をしなかったでしょう。Aさんの熱量がFさんの熱量を引き出したかたちです。

Fさんが「Aさんを参考にしました」と投稿したことに対して、Aさんはコメントで感謝を伝えるでしょう。また、そのやりとりを見ていたDさんは、さきほどのAさんにはリアクションしかしなかったところからFさんにコメントをするところまで熱量が引き上げられています。熱量にはスパイクがあり上下するのが一般的なので、Cさんが今回はリアクションするだけにとどまっているのも自然なことでしょう。一方でEさんは一定の熱量でリアクションを続けています。このようにメンバーやタイミング、投稿内容によってそこに生まれる熱量の分布には斑(むら)があるものです。

ともかく、Aさんの投稿をきっかけに、コミュニティ全体の温度が少し上がったようです。すると、また面白いことが起きます。


熱量の質的転換

ここまでのコミュニティでの盛り上がりを起点に、さらにその熱量が波及していく様子をイメージしてください。

  • Bさんは「肉じゃがの投稿が盛り上がっているので、オフラインで集まって一緒に肉じゃがを作って食べ比べるイベントをやってみませんか?」とイベントを提案してくれました。

  • Eさんはこれまでリアクションしかしてきませんでしたが、「デザイナーをしているので皆さんのレシピをオシャレなレシピブックにして配りたい」とスキルを活かしたプロジェクトでコミュニティに貢献する意思を示してくれました。

  • Dさんはイベントやプロジェクトを提案することはありませんでしたが、コミュニティの外で調理家電のことやコミュニティのことを話題にして口コミによって推奨してくれました。

  • Cさんは特に何か他人に影響を与えることはありませんでしたが、「今後もこのブランドの製品を使っていこう」とLTVが向上することになりました。

このように、Aさんの1つの投稿によって局所的に生まれた熱量が他のB〜Fさんの熱量を引き出し、それがお互いに影響しあって増幅した結果としてさまざまな成果につながっていくのです。

コミュニティを運営するときには、こうした熱量の伝播が起きやすくするための場作りが欠かせません。もし仮に熱量の伝播が起きないコミュニティがあるとしたら、それは単なるメールマガジンと変わらないと言えるでしょう。

ではどうしたら熱量が伝播しやすくなるのか?ということについは適切なテーマ設定や運営者によるファシリテーションなどさまざまな観点があるので、今後もこのマガジンでお伝えしていこうと思います。引き続きお楽しみにされてください!



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黒田悠介|コミュニティ研究家|Commune Community Lab 所長
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