『未来』2024年10月号
①嶋稟太郎「時評 時間の感覚」
〈(ニ首目は)かなり長い時間が示されているが、歌を読んで感じる時間の長さは、一首目のほうが長く感じる。〉
一首目北山あさひ、二首目山下翔の歌の時間感覚を比較した論。分析の精緻さに驚いた。他の歌にも敷衍して考えたくなる。
しかし、嶋が、ニュー・アララギを批評用語として使おうとしているように思えて、そこは違和感があった。『現代短歌』9月号で、この語を提唱した時、瀬戸夏子は明快な定義をしていないと思う。曖昧な批評用語を使ったら議論が分かりにくくならないだろうか。
後半、土屋文明・リアリズム・時間の感覚を考察した部分は抜群に面白い。こうした既存の語で考える方が、理解しやすく、論点に絞った話になるのではないか。そこにニュー・アララギの語を入れると、その語の定義のために論が使われてしまうと思った。
②嶋稟太郎「時評」に関連して、私の『現代短歌』9月号の感想です。⑦~⑨が直接関連記述。
2024.10.4. Twitterより編集再掲