『ねむらない樹』vol.2 2019.2.(2)
⑦ひつじ雲あわく千切れていくように家族はいつまで家族だろうか 天道なお 羊雲が固まり、離れるように家族の形も変わる。死別、生別、子の成長による別居など。それでも家族は家族のままのはずだが。主体の心の中に「家族の原型」があり、それが失われることが不安なのか。
⑧松村由利子「明るく透きとおる抒情」〈杉﨑さんは、前田透の主宰する「詩歌」に参加していた。口語短歌の基礎を築いた前田夕暮から引き継がれた歌誌である。〉口語短歌の流れの中で前田夕暮の系譜はもっと語られていい。杉﨑恒夫の口語短歌に占める位置も再検討が必要だ。
⑨みづからのからだのことをみづからが決めるしかなき切岸 ありき 梶原さい子 手術や投薬を受けるか受けないか、ということだろうか。自分の身体は自分のもので誰も引き受けてくれない。病気になった時、それを痛感する。上句の「から」下句の「き」、カ行音が強く響く。
⑩特集「ニューウェーブ再考」もう二年前に出た本だから、この内容のことは語り尽くされている。でも、二年後の未来である今、えー、そんなこと言ってたの、という感慨もある。ということで気になった個所を断片的に引く。自分用のメモとして。
⑪川野里子〈八〇年代から九〇年代に登場した新しい文体というごく大きな括りの他に、「ニューウェーブ」を語る共通概念が成立するのは難しいのではないか。〉その括りを主流と捉えて新しい名前を与え、「ニューウェーブ」をぐっと狭く捉えるのも一つの方法だと思う。
2021.5.28.~29.Twitterより編集再掲