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『現代短歌新聞』2021年8月号

①月岡道晴「研究と現代短歌の架橋」〈研究者は現代短歌に関心がなく、歌詠みは研究の成果に関心がない。〉これはもっと問題視されてもいいことだ。歌人が滔々と述べていることが、研究者の目で見たらずれている、ということが、多いのではないか。

〈われわれ研究者歌人は現代短歌との架け橋になれるだろうか。〉ぜひなって下さい。この記事で挙げられていた松澤俊二『「よむ」ことの近代』なんて、目からウロコの連続だった。あと『帝国の和歌』も。こういう本がもっと出て欲しいものだ。

②島内景二「辞世のうた」花も見つ時鳥(ほととぎす)をも待ち出でつこの世のちの世思ふことなき 北村季吟 〈私の命は尽きようとしているが、都にも劣らぬ桜の花を江戸でも満喫したし時鳥の鳴き声も聞けた。この世でやり残したことも来世への不安もまったくない〉大満足なのだ。

〈中世文化の源流は藤原定家にある。定家の教えは、子孫である二条家の歌人が受け継いだ。二条家の断絶後は、和歌四天王の筆頭・頓阿の子孫が継承した。それが宗祇に伝わり、ここから「古今伝授」という儀式となる。三条西実隆の子孫を経由して、細川幽斎に伝えれられ、時代は近世へと入った。
幽斎に学んだ「貞門俳諧」の祖・松永貞徳の弟子が、北村季吟である。季吟は定家の「文化史的クローン」なのだ。〉こんなにコンパクトにまとめていただけるとは!これですっきりした。これが古今伝授、堂上和歌なんですよね。ありがとうございます。何見ても断片的にしか書いてないから…。

③桑原正紀「覚悟と祈り 川本千栄歌集『森へ行った日』」〈事物を捉える語の斡旋に緊迫した気息が感じられる。(…)短歌の節調は作者の精神性に深く関わっているのだ。〉身に余るお言葉をありがとうございます。ますます心して歌を詠まねばと気持ちを新たにしました。

2021.9.19.Twitterより編集再掲