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『短歌往来』2024年9月号

①小長井涼「岡野弘彦の私性」
〈日本近現代文学的な〈私〉、換言すれば、私小説的な〈私〉を拒みつづけているからこそ、逆説的なかたちで、岡野短歌の〈私〉は、強烈で強靭な私性を獲得できているのかもしれない。〉
 面白く読んだ。岡野弘彦の私性をこんな角度から考えたことはなかった。著者は〈私〉と〈今〉の消去に、短歌ブーム下の短歌との共通点を見いだしている。短いコラムだから例歌が無いけど、例歌も合わせて読みたいものだ。

②江田浩司「短詩型韻律攷・第一章」
〈先頃、話題になった川本千栄の『キマイラ文語』で提示された事項を、岡井隆のこのような観点から読んでみると、どのような事項が浮上するだろうか。〉
 岡井隆の論と比較して『キマイラ文語』を読んでくださっています!!
〈私はこのような川本の論に、基本的には賛同する。だが、川本の考察には、短歌詩型と、言葉の韻律の関係性への視点が希薄である。〉
 新たな切り口から『キマイラ文語』の論に触れて下さっています。T・S・エリオットの「聴覚的想像力」も取り上げて、とても読み応えがあります!

③藤野早苗「作品月評7月号より」
皺の寄るまぶたのように皺を寄せ花びら五枚が蘂とり囲む 川本千栄
〈「皺の寄るまぶた」という比喩が斬新。それが蘂をとり囲むという描写に、桜の臈たけた魅力を感じた。〉
 一首引いて批評していただきました。ありがとうございます!

2024.9.25. Twitterより編集再掲

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