『うた新聞』2022年2月号
①田宮朋子「「多磨」から受け継ぐもの」北原白秋の「多磨綱領」について。〈「浪曼精神の復興」は、前年に亡くなった与謝野鉄幹の志を継ぐということだろう。〉白秋の鉄幹に対する感情も興味深い。〈「第四期の象徴運動」の、第一期は新古今集、第二期は江戸時代の俳諧第三期は明治時代になってからの新詩体の勃興である(…)白秋は「多磨」をこれにつづく第四期の象徴運動と位置づけた。〉今この白秋の歴史観は多く語られないが、一つの視点として興味深い。歴史観は価値観でもあり、一つに絞らずに常に複眼的であってほしい。
②「短歌トラベラー! ネパール」経文を記す五色の祈祷旗(タルチヨー)を吹きあふりつつ風が経よむ 沢口芙美 経を記された五色の旗が高山の風になびく。雄大な山、空、湖を背景に人々の信仰が風になびく。肌に風を感じ、耳に旗の靡く音が聞こえるような歌だ。
2022.3.25.~26.Twitterより編集再掲