『現代短歌新聞』2024年2月号
①前田康子「俵万智『アボカドの種』評」
〈老いた両親との生活を詠んだ一連は、意識が言葉よりも対象へ深く向いている。ここにはわかりやすさや代弁よりも、両親の老いとともに変わっていく生活への手探りの表現がある。〉
とても納得。これに続く結語も良かった。
②小塩卓哉「文語と現代仮名遣い」
〈中世以降は「ハヒフヘホ」の音は語の中で「ワイウエオ」と発音されるようになりました。〉
発音と表記の問題、時代と結びつけて覚えたい。
〈寺山より先行する世代は、歴史的仮名遣いで教育を受けてきた世代なので、文語の短歌で現代仮名遣いを使用することには抵抗があったはずです。しかし、寺山の登場によって、現代仮名遣いを用いて文語を表記するということが広く認められていった側面はあるでしょう。〉
そうなんだ?それは意識していなかった。ちょっと意識して調べてみたいと思った。
③外塚喬「短歌レッスン」
ああここにも薬師如来を護りたる神将たちのひっそりと立つ 後藤由紀恵
〈薬師如来を取り囲む神将たちがいる。しかしわたしを囲んでくれる神将は、いないのです。薬師如来よりも助けとなる神将に強く心を寄せている作者の姿が見えます。〉
とてもいい読み。この評を読んだ後、もう一度歌を読むと、そうだよなあ、としみじみと沁みる気持ちになる。
2024.3.6. Twitterより編集再掲