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『うた新聞』2024年9月号

①田中拓也「型やぶりと型なし」
〈伝統芸能の世界でよく知られた言葉であるが、これまでの伝統を踏まえたうえで、新しい表現を生み出すのが「型やぶり」。伝統を知らずに表現しているのが「型なし」であるという言説である。〉
 なるほど。伝統芸能についてはそういうイメージ(あくまで部外者としての)。短歌にも通じる部分があると言われればそうかもしれない。伝統の捉え方が短歌の場合はちょっと単線的には行かないけれど。

②川本千栄「作品時評 記憶だけではなく」
 同紙8月号の作品を読んで評を書いています。横山季由、東直子、菅原百合絵ら各氏10名の13首を取り上げています。ぜひお読み下さい。今回担当最終回です。6か月間ありがとうございました。

みづからにまだ鉱脈の残りゐる気のして、ならば上を向かむよ 佐藤モニカ 重い病を患ったことを詠う一連。それでも自分の中にまだ鉱脈のようなものがあり、掘れば光るものが見つかると感じている。柔らかい言葉で決意が語られた結句にも胸を衝かれる。

④間瀬敬「土屋文明の声」
〈(気づいた)もう一つは、歌は定型に収めることより、言葉の内容が優先すること。文明は定型にするための添削はしなかった。私の歌の結句はほとんど消滅したまま「アララギ」に掲載された。〉
 えー!?本当なの?結句で言い過ぎとか、結句が余分とかは、歌会でよく言われる評だが、結句を消したまま載せるって、厳し過ぎないだろうか。
〈アララギの歌は必ずしも定型をもとめない。破調かどうかは、内容次第だ。〉
 アララギが、と言うより、文明が、だと思う。確かに文明の歌は破調多いけど。

2024.10.3. Twitterより編集再掲

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