『うた新聞』2023年12月号
①今井恵子「歌壇史と短歌史」
〈『北海道歌壇史』が地域へ目を向けた空間的な広がりをとらえようとしているのに対して、『短歌史』(阿部正路 昭和56)は「中央歌壇」を軸に展開した時間的な変遷をとらえている。〉
〈『短歌史』を貫く「中央」へ収斂する視線によって浮上する短歌史は、ともすると風土に根付きながらその地に堆積して来た/堆積してゆく短歌の数々を視界の外に置いてきぼりにしまいがちだ。〉
短歌史と言いながら、中央に縦に偏向した視線を持ちがちではないか、という問題提起だ。
②むしろ会ってくれるの、という返信に感情が明滅をやめない 帷子つらね 初句六音、二句句割れの部分に現実のやり取りの手触り感が残る。相手は主体が会うと伝えたことに驚いた。それに対して主体の感情も揺れる。「むしろ」に今迄の心の行き違いが凝縮される。
2024.1.5. Twitterより編集再掲