『うた新聞』2024年10月号
①長瀬和美「方代の開かれた世界」
くろ鳥の矢羽根するどし山神の祭りの行の父にしたがう/東天紅たつみの方に矢をはなちみ山荒神仕え祭れり 山崎方代
〈このニ首の歌には、方代の歌のキーコンセプトとなるものが包含されている〉〈もう少し具体的に言うと、私たちが過去に置き去りにしてきた風習や仕来り、或いは、山国の自然と共に生きて来た人々の暮らしぶりの一端が窺える〉
方代のこういった方向性の歌には目が行っておらず、こんな歌があったのかと結構驚いた。色々見てたつもりだったけど。
②目がわたしを超えて何かを見てゐるのだ 閉ぢかけて目はふたたびを見開く 金田光世 自分の目なのだが制御不可能、目が意志を持って動いているかのようだ。自分を超えて何かを見る目。閉じかけた目が勝手に開く。しかも見開く。異形の何かに誘われるかのように。
2024.11.10. Twitterより編集再掲