瀬戸内で心に生まれた真珠
アートの懐に入りこめた、夏の一瞬だった。
雅はいつもキラキラ輝いていた。
国際的に活躍するクリエイターで、その実績には目を見張るものがあった。
その上、美人で気さくで気遣いのできる女性。
仲はよかったが、已己巳己とはいえない。二つ下だったが、あこがれていた。
彼女から誘われた瀬戸内トリエンナーレ。
いくつもの島で大規模に行われる3年に一度の現代美術展だ。心躍るものがあった。
現代美術が好きで、旅できる友は他にいない。忙しい雅から誘われるのは、私にとって色節だ。
香川の高松からフェリーに乗って、小豆島に渡る。
瀬戸内海はビー玉が敷き詰められたように、ピカリピカリと無邪気に光る。
出発した港、到着した港、そこからすぐの建物、不思議な建造物・・・
古民家の扉を開けると、ワンダーワールドが広がる。ちりばめられたモダンアートに息をのみ、酔う。
瀬戸内の穏やかな島々、斬新なアート、友との睦び合い。
3日間は心の真珠となった。
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