カウンセリングに無断であらわれなかったクライエントさんにどう対応するか
今日、予約の新患が無断で受診せず、先月も同じことがあったなあと寂しく思った。
精神科だから敷居が高いとはいえ、実際、私の待機時間が無駄になったし、せめて断りの電話を入れて欲しいという当たり前の愚痴訴えかける
・・・という、精神科医のかたのツイートがあったので考えてみました。
いろいろ考え方があるでしょうが、私は予約後初の面接やその後の面接で来なかった(連絡を取ってこなかった)人には「どうしたの?」と連絡を入れる派です。連絡を入れる決心がつかないこと自体がその人の対人関係の行き詰まりや悩みに直結していることが少なくないと思いますから。
大学学生相談時代は、無料ということもあり、すっぽかされることはよくありました。「それでも連絡を入れた方がいい」というのは先輩からの教えです。そうやって面と向かった「拒否能力」がないのがまさに親子関係の反復だったりする可能性があります。
治療者への「逆転移」とか「受動的攻撃性」とか理屈をいわなくても、カウンセラー ー クライエントさん関係は、クライエントさんの重要な他者 ー クライエントさん関係の反復になっていることが少なくないのは自明の理かと思います。
有料カウンセリング機関の少なからぬところでは、面接予約無断キャンセルの場合、面接料と同額をいただくことを事前の「契約」としているところも少なくないです。私のカウンセリングルームの場合には、こちらから連絡をいれて話し合った上で、来ないということになれば、料金はいただきませんが。
こちらから連絡を入れないのは、治療者側が「拒否」されて傷つきたくないから、という可能性も視野にいれるべきかと思います。
何も言わなくても、自分の気持ちを「察して」欲しいというのは、たしかに土井健郎先生の言う意味での「甘え」かもしれないのですが、そうやって自分の気持ちを「察して」もらえない家庭環境で育った可能性もあり、それがまさにその人の対人関係の問題の核心の場合もあると思います。
面接を始めるか前から面接が始まっているようなものですが。
こういう関係のとり方を、バリントは「オクノフィリア」的関係といいます。相手が鍵穴に鍵を入れるように接してくれるのを期待している。こうした態度にまずはこちらがチューニングする必要がある場合がある。
これと正反対に、相手が自分からこちらに関係を求めて来なければ、ただそばにたたずんで見守り、こちらから「理解しよう」と努力をしない関係が必要な場合があります。それをしたら相手への精神的レイプになる関係性です。これをバリントは「フィロバティズム」的関係といいます。
これについては以下の記事で述べました。