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#トランスジェンダー

千田有紀「学問の危機と『キャンセル』の方法論」『情況』の注と補足

このページは『情況』の千田有紀「学問の危機と『キャンセル』の方法論」の注である。論文の紙面に注はいちおう印刷されているが、URLが多く、利便性を考えて公開する次第である。また、紙幅の都合上省いた情報も補足してある。 注1 千田有紀、2020、「「女」の境界線を引きなおす」、『現代思想』3月臨時増刊号。論文はここで全文が公開されている。 注2 注3 注4 高島鈴、2021、「都市の骨を拾え」、『現代思想』11月号、青土社。TERFとは通常、「ジェンダー・クリティカル・フ

【翻訳】子どもに思春期ブロッカーを使用させている友人との対話

非常に有益なスレッドを教えてもらったので紹介します。 イギリス在住のMrMenno氏とオランダ在住の友人の会話。 子どもが思春期ブロッカーを開始してしまっている友人にいかにその危険性を伝え、説得に成功したかについて述べられています。 今回、投稿者ご本人に転載許可を頂いたので、こちらに掲載させていただきます。 なお、投稿者のMrMenno氏はオランダ出身、イギリス在住のゲイ当事者の方で思春期ブロッカーの使用に反対している方です。 他人(特に親しい人)を説得する際の重要ポ

LGBT問題についてイギリスとドイツの比較

ヨーロッパにおいて、対照的なLGBT政策を行っているのがイギリスとドイツだ。 ドイツは1906年に世界で初めて性転換手術を行った国、イギリスは2004年に世界で初めて性別適合手術なしでの法的性別変更を認めた国であるが、現在の状況は全く異なっている。 イギリスは女性達を中心とした活発な市民運動を受けて、肉体の性別を重視する方向へと立ち戻ろうとしている。 一方のドイツは、2011年に憲法裁判所が手術要件を違憲とするまでは法的性別の変更に性別適合手術が必要だったが、その後は「

『出生時に割り当てられた性別』という用語は問題があり、非科学的である理由 (翻訳記事)

by  アラン・ソーカル、リチャード・ドーキンス ボストン・グローブ紙 "The Boston Globe" (米)2024年4月8日掲載 社会的または政治的な大義のために事実を歪曲することは、それがどんなに正しい目的のものであっても、決して正当化されません。 米国医師会(AMA)は、「性別(sex)」——つまり男性(male)または女性(female)という語——が問題があり、時代遅れだと述べています。今は「より正確な」表現である「出生時に割り当てられた性別( “sex

"英国の総選挙でフェミニストの票を得るべき政党はない" (翻訳記事)

ジェンダーをめぐる文化戦争の中で、女性の人権と安全を最優先する私たちには政治的な場所は存在していない by  Julie Bindel  ジュリー・ビンデル(ジャーナリスト/作家) アル・ジャジーラ 英語版(Al Jazeera English)オンライン オピニオン記事 (2024年6月20日掲載) 女性の権利を守るために闘う私たちフェミニスト、特に男性による暴力を終わらせ、女性専用のための性別に基づく(single-sex)空間とサービスを確保しようと取り組む人々にと

清水晶子さんに問う「フェミニズムの敗北」とは?(『地平』2号水上文さんとの対談より)

『地平』の2号が「奪われるフェミニズム」特集だそうだ。水上文×清水晶子さんによる対談が、「『フェミニズムの敗北』を乗り越えるために」とは、すごいタイトルだ。私は清水さんをフェミニズムの理論家だと思ったことはないし、むしろクィアの立場から(?)フェミニズム批判を一貫として生業にしているひとという印象しかない(そもそも専門が人文学なので、社会科学の勉強をなさらないのであったら、社会制度の話はあまりなさらないほうがいいと思う。発言や書き物に間違いが非常に多くて、端的に日本のフェミニ

ターフ・ウォーズの記録(THE ANNALS OF THE TERF-WARS)

翻訳者による紹介フェミニスト目線で、2010年頃から2018年のイギリスの状況をつづった『THE ANNALS OF THE TERF-WARS』が大変面白く、分かりやすかったので、翻訳してみました。 執筆者は Dr Jane Clare Jones(ジェーン・クレア・ジョーンズ) で、フェミニスト哲学者であり、作家でもある方。 2019年に、フェミニスト思想センター(The Centre for Feminist Thought)を創設し、フェミニストの歴史と思考のコ