古典文学とは何か
「古典文学」といったときには、基本的に日本の奈良時代から江戸時代までに書かれた書物を指すと思います。
例えば同じ古典でも、ヨーロッパの古い文献を扱う時には「西洋古典」とか「西洋古典文学」という言い方をすることが多いでしょう。
また、「古典」とだけ言った場合には、高校の授業や大学入試の話題の中では科目としての「古文・漢文」を指しますし、「〇〇〇の古典」といった場合には、その分野によって指し示すものが変わってきます。
ですから、ただ「古典文学」といった場合には、日本の古い文献を指すようです。
現存する書物が残っている奈良時代あたりを出発点とするのはよいとしても、江戸時代まで、とするのはなぜでしょうか。
実際には、江戸時代から明治時代になったことで、文学がいっぺんに変わってしまった……ということは考えにくいと思います。もちろん、明治時代になったことで、文学は大きな影響を受けましたし、がらっと作風を変えた作家もいたかもしれません。
ただ、現実的には、江戸時代の中でもゆるやかに変化は起きていましたし、明治時代以降も変化していったのだと思います。
そうなると、江戸時代までを「古典文学」とするのは、ちょっと問題があるかもしれません。幕末の文学と明治初期の文学は地続きだからです。
しかしながら、便宜上、「古典文学」といったら江戸時代までを指します。明治以降の文学は、「近代文学」とか「近現代文学」の中に入れることが多いようです。
実際には、その中でも「浪漫主義」や「自然主義」などといった、多くの分類がなされていて、それらをひとまとめにする言葉として、「近代文学」がわかりやすいのだと思います。
もちろん、「推理小説の古典」とか「児童文学の古典」といった言い方もできるわけで、文学上の「古典」にもさまざまなものがあります。
ただ、「古典文学」といったときには、通常は江戸時代までの文学を指すことになるようです。
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