慶應義塾大学通信教育部の志望理由書の作成ガイド③「書籍を選ぶ」編
次のテーマは「書籍の概要と論評」です。読書感想文のようなものと思っていただいてもよろしいかと思います。
まず、書籍を一冊選びます。
「書籍」とありますから、雑誌や漫画でも大丈夫なのですが、それはそれで、まとめて論評するにはテクニックが必要です。
また、専門家や研究者向けに書かれた難しい本を選ぶ必要もありません。むしろ、それをまとめて論評することは一層困難でしょう。
「〇〇〇入門」という類の本もわるくはないのですが、世に出回っている本には「入門」といいながらも難しいものが多いです。また、広く浅く内容を扱っているため、まとめて論評するのが難しくなることもあります。
おすすめは、「新書」です。
「岩波新書」「講談社新書」など、さまざまな「新書」と呼ばれる文庫本が、各出版社から出されています。
ほとんどの本屋や図書館にはこれらの「新書」を集めた「新書コーナー」がありますので、ぜひのぞいてみてください。本屋や図書館に慣れるのも、大学で学ぶのに必要なことです。
「新書」はある特定のテーマについて、一般の方向けに比較的やさしく書かれた本が多いです。
まずは本屋や図書館に行き、「新書コーナー」に行きます。
そして、そのコーナーを隅から順に眺めながら、自分の興味のあるタイトルがないかを探します。
その際に、必ずしも自分が本当に学びたいことをピンポイントで探す必要はありません。「なんかおもしろそう!」「これって何だろう!」と思ったら、ぜひ手に取ってみてください。
そうして手に取った本を、まずはパラパラとめくってみます。慣れると見るポイントもつかめてきますが、まずはパラパラとめくってみて、「読めそうか」「おもしろそうか」を考えてみます。
本は必ずしも全て読む必要はありません。ある特定の部分や、章段だけでもよいのです。一部分でも「読めそう」「おもしろそう」だと思ったら、それをもう少ししっかり読んでみることを検討してみてください。
これを繰り返し、何冊か候補を探してみてください。
それらの本を手に入れたら、もう少しじっくりと読んでみます。全て理解する必要もなければ、全て読む必要もありません。雰囲気だけでもいいし、数ページでもかまいません。
さらに、その中から、「内容をまとめやすい」「自分の感想を書きやすい」ものを選んでください。
もしかしたら、自分が一番学びたいテーマとは違う本かもしれません。けれども、ここで大事なのは、「まとめやすい」「書きやすい」ことです。
この書籍選びがとても大切です。これがうまくいけば、次の「概要」と「論評」も書きやすいのです。