バスツアーで楽しむ歴史とグルメ
あわただしい年末の12月30日、バスツアーに参加しました。
工程は、【関ケ原・花伊吹】⇒【彦根城】⇒【酒蔵・岡村本家】
目玉は近江牛&松葉蟹の食べ放題で、それプラス近江牛or蟹2杯のお土産まで付いて11,980円と格安なので、夫と二人で速攻で申し込みました。
蟹&お肉のツアーは他にもありましが、私は彦根城に惹かれたのです。
以前、レキジョークルで訪れた時は、大雨だったので満足に見学できず、今回はそのリベンジのつもりでした。
お天気も前日まで悪く、風も強く寒かったのですが、ちょうどこの日だけ、晴れて穏やかだったのを見ると、私たちはどうやら「晴れ夫婦」なのかもしれません。
8時10分の集合なので、絶対に乗り遅れないようにと思い、バスに乗り込むまでは緊張します。
それでも他には呑気な人もいて、集合時間になってからトイレへと行く方もいました。
こんな気忙しい年末に行く人は少ないと思っていたのですが、とんでもない!バスは満席でした。
いきなり「花伊吹」で昼食
草津SAに寄ったたけで、一気に関ケ原までやってきました。
途中で見た山の姿は美しく、見惚れるほどでした。
伊吹山といえば、若い頃に一度だけスキーをしに行ったことがありましたが、悪天候のせいもあってとにかく寒かった!
スキーは信州や北海道、新潟などへも行きましたが、比較的近場の伊吹山や琵琶湖バレイの方が寒かった記憶があります。(両スキー場とも今はない)
位置的な事とは関係なく、天候次第かもしれません。
同じ琵琶湖沿いでも、三上山は緑、伊吹山になると白なので、確実に移動しているという実感もありました。
まだ11時頃でしたが、早速昼食です。
関ケ原・花伊吹さんに着くと、他のバスツアーも合流していて大変な賑わいで、上階のいくつかの宴会会場へと順番に呼ばれるまで、1階で土産物を物色するしかなく、その大混雑には辟易しました。
ビュッフェ方式なのが、私にとってはマイナス要素でしたが、パックツアーではそんな贅沢は言えません。
もちろん、カニと近江牛を重点的に食べましたが、老夫婦はそんなにたくさん食べられるわけでもなく、気持ちはあっても胃袋がギブアップしてしまいます。
20代の息子たちが来れば元を取るどころか3倍は平らげだろうなぁ。
もちろんカニも近江牛も美味しく、他にもいろいろなメニューがありましたが、全てを味見程度に食べただけで、私は特にカニをメインにいただきました。
ご飯系は肉寿司1個のみで、近江牛のすき焼きに入っていたうどんも残してしまいました。
ここで、うどんなんて食べてる場合やない!
アナウンスが入って、カレーに綿あめを入れるので溶けていく様子を動画にどうぞという事でしたが、動きが地味過ぎて、面白くもなんともない動画になりました。
そもそもこのメニューラインナップでカレーを食べる気にはなりませんでした。
宝蔵寺と関ケ原ウォーランド
レストラン・花伊吹の向かいに宝蔵寺という関ケ原合戦戦死者供養のお堂があり、まだ新しい石碑ありました。
作曲者がいるという事は、歌なのかと驚きましたが、残念ながら聞いてはいないのでわかりません。
歌詞を読んだ感じでは、かなり関ケ原の戦いに思い入れが強く、戦死者たちを偲んで作られたのがわかります。
レストランとの間にはバスツアーの観光客で多くの人が停滞していましから、このお堂は場違いのような気がしました。
宝蔵寺の左手には「関ケ原ウォーランド」。
これは垣根の間から少し様子を見ましたが、いかにもツッコミどころ満載で、思わず笑ってしまいました。
関が原合戦の真似事で、人馬を配置した庭のようになっています。
馬も戦国武者もかなりクオリティに欠けていて、完全に子供向けなのがわかりました。
そもそもウォーランドというネーミングが昭和チックでちょっとウケます。
せっかくの彦根城なのに
次に彦根城に向かいましたが、城内での制限時間はなんと1時間!
まったく時間が足りません。
以前、11年前の2014年にレキジョークルで訪れているのですが、出版本にもこのnoteにも詳細は書いたことはなく、Youtubeも制作していないため完全に幻の紀行となっています。
前日には長浜や木之本も散策し、彦根城の内堀を遊覧する「屋形船」にも乗るという充実したものだったことを思い出しました。
そして何より、昨年他界したヒデさんも元気に参加していたのを思うと、なんともやりきれない思いがします。
滋賀縣護国神社
以前はスルーしてしまって気付いていなかったのですが、今回はバスが停まった南端の「いろは松駐車場」すぐ近くにあったので、吸い込まれるようにお参りしました。
狛犬たちの顔が小さくてかっこいい!
それに毛並みなのかもしれませんが、背中やわき腹、胸のあたりも筋骨隆々で細マッチョな体型で、とてもシャープな雰囲気でした。
台座を見ても一文字も見当たらないので、いったいいつ頃の誰の作なのかもわかりせんが、創建当時の明治9年から鎮座されているなら約150年という事になります。
ひこにゃんでヒデさんを偲ぶ
彦根城博物館は前回同様、今回もちょうど休館でした。
もっとも開館していても時間がないので見れませんが💦
ちょうど「ひこにゃん登場」の時間だったので、ちょっと見ていくことにしました。
ひこにゃんのパフォーマンスを見ていると、ヒデさんの事をリアルに思い出してしまい、いたたまれない気持ちになりました。
彼女が誰よりも一番ひこにゃんの虜になり、このちょっとコミカルなポーズに声をあげて大笑いしていたのです。
その声がよみがえり、もうあの笑い声も聞けないのかと思うと無性に寂しくなってきて、涙がこみ上げてきます。
「ひでさんの分まで楽しむから、今回もいっしょに来てね!」と彼女に声掛けして、この場を後にしました。
彦根城天守を目指して
彦根城は、天守へと続く階段が幅も高さもまちまちでとても上り下りがしずらいです。
他の城もそうすが、敵に攻められることを想定してわざとしているのでしょうが、本当に良くできた意地悪な階段だと思います。
石垣の上にはかつては櫓があり、当時なら天守に到着するまでに伏兵に攻められて、私は10回ぐらいは死んでいると思われます。
前回は工事中だった「馬屋」も見る事ができました。
修復前の状態は知らないのですが、やけにきれいに新しくなっているので風情はありませんが、これだけ立派な馬屋が入口外にあるという事は来賓が多かったわけで、皆、来るたびにこの石段を上がったのだと思うと、また昔の人の足腰の強さに感心してしまいました。
さて、肝心の天守には見学するための行列ができていたので、スッパリ諦め、おまけに庭園の「玄宮園」も見学する時間もなく、入場料の1,000円は棒に振った形になってしまいました。
井伊家が日本史に与えた影響
今回は見学していませんが敷地内には井伊直弼の「埋木舎」があります
彦根藩12代・直中の、なんと14男に生まれた直弼は、家督を継ぐどころか良家へ養子へ入ることもできず、ここで部屋住みとして32歳まで過ごし、このまま自分の生涯は終わると覚悟していたようです。
~世の中をよそに見つつも埋もれ木の
埋もれておらむ心なき身は~
彼が詠んだこの歌から自ら命名したのがこの「埋木舎」でした。
ところが兄たちが次々に死亡し、13代直亮の弟で養嗣子の直元まで死去したため、直弼に後継者の座が回ってきたのは、やっぱり歴史の奇跡としか思えません。
幕末、直弼が大老となって「安政の大獄」を布いたことで、どれだけ多くの優秀な人材を亡くしたか。
彼らが生きていたら明治期にはさぞかし頭角をあらわし、良いも悪いもその後の歴史は違ったものになっていたでしょう。
(代数は直政を初代として数えたもの。井伊美術館参照)
井伊家には、もっと過去にも奇跡がありました。
初代・直政の父・直親が今川家に誅殺され、ここで滅びるかと思われたのが、直親の従妹である直虎がピンチヒッターとなって家督を一時的に継いで奇跡的に持ち直し、さらにその子・直政が徳川家康に取り立てられて、現在の岳夫さんは「彦根城博物館 館長」として今に続くことになります。
【井伊家の奇跡ポイント】
・直虎が井伊家をなんとか存続させた事。
・直政が家康に取り立てられた事。
・直弼が家督を継ぐことになった事。
2017年の「おんな城主 直虎」では柴咲コウさんが主役で、そのあたりを面白く描いていました。
だいたい直虎が女だったかどうかもよくはわかっていないのですが。
彦根藩・井伊家はなんとも神に護られて存続してきたとしか思えません。
彦根老舗酒造・岡村本家
最後にご当地の老舗酒造である「岡村本家」へお邪魔しました。
こちらは彦根藩主井伊家より酒造りを命じられ、安政元年(1854年)より現在に至る彦根を代表する酒蔵なのです。
良酒ができる条件として、水・米・寒冷が揃わないとできないそうです。
確かに鈴鹿山脈からこの辺りまで一面の田んぼが広がり、豊富な名水と良質な近江米、そして伊吹山から吹く寒風という、酒作りに最適な環境が整っている立地です。
たまたまこの日は比較的暖かだったのですが、普段はあたり一面雪景色になっているのが当たり前だそうです。
そういえば日陰には雪が残っていました。
写真右上の「金亀梅酒」を買って帰りましたが、甘ったるくなくキリリとした味ですごく美味しい!
普段、スーパーで買っているものとは格段に違うのは明確です。
今回のツアーの総評
さて、このツアーはとにかく”時間がなかった”の一言に尽きます。
一見するととてもシンプルでゆっくり楽しめるツアーのようですが、なんせ大阪難波からスタートして関ケ原まで往復走行距離・約310kには無理があり、ゆっくり見たかった彦根城や岡村本家は流れ作業のように急いで見て回る事しかできませんでした。
食事がメインのツアーだとは思うのすでが、何も関ケ原くんだりまでわざわざ行かなければならない理由はどこにあったのだろう?
完全にお店とのタイアップを考慮した旅行会社側の都合で、私たち利用者にはカニや近江牛を食べるのにそんなとこまで行くメリットはなかったと、後になって思いました。
だいたい彦根城をくまなく見ようと思えば、博物館や庭園「玄宮園」もあり、下手したら1日かかる観光地です。
食事も彦根城界隈でするか、関ケ原で食事なら「花伊吹」から5分ほどの「関ケ原古戦場」へ行くのが良かったのではないかと思いました。
これは無駄に移動時間がかかったので、振り返ればシンプルな工程の割には、どこも中途半端に終わった気がします。
一番の感想としては、こんな年末ギリギリの時にこんなにも人が多いのかという事です。
私はもしかしたら空いているのかもしれないと高をくくっていた事を反省せずにはいられませんでした。
年末とはいえ、世間は冬の休暇真っ只中なのだと再認識したツアーとなりました。