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残酷だけど温かい 藤堂比奈子 シリーズ

私の読書壁として、お!これはと思う作家を何作か読み倒してみるという事があります。

前回、よろず建物因縁帳シリーズにハマったという読書記事を書かせていただきましたが、案の定、もう一つの人気シリーズにも手を出してしまいました。

別シリーズの本編11冊、早くも読破いたしました。

この2つのシリーズ、共通しているのは、恐ろしい事件を取り扱っているにもかかわらず、骨子は温かみがある事です。

これは著者・内藤了さんの内面からくる作風なのだと感じました。


残酷で凄惨な現場の描写にドン引きする

とにかくエグい!

エグ過ぎて、読みながら眉間に縦じわが寄ります。
マジで一巻の最初の段階では、これはこの一冊で止めよう、と思ったぐらいです。

こちらは「よろず・・シリーズ」のように怨霊とか幽霊とか神とかの仕業ではなくて、生身の人間が起こした事件なので、より現実的て鬼気迫る怖さがありました。

よくもまあ、ここまで残酷な殺し方があるかと、その発想に妙に感心してしまうほどです。


人の持つ温かみも同時進行で描く

異常犯罪の連発なので、止めよう止めようと思いながら、ついに最後まで読んでしまった理由の一つに、そこに登場する仲間たちの描き方が上手かった!

八王子西署 猟奇犯罪捜査班 のメンバーたちの豊かな個性をジワジワ描写して、徐々にその輪郭をハッキリさせていきます。

それが読み手にとっても、徐々に他の登場人物の人となりがわかるような描写で、次第に関りも深くなっていきます。そこが現実社会とリンクしてしてしまって、引き込まれてしまいます。

あたかも自分もその一員になったかような実感が生まれます。


話しのスケールがどんどん大きくなる

最初は小さな範囲で起こった残酷な事件のようなのですが、読み進むにつれて、どこかの部分が繋がっていてどんどん話のスケールが増してきます。

次作の伏線が、後半に含まれているので、どうしても続きが気になるし、次を読むとまた別の事件にリンクするという感じです。

確かに、そんなアホな。という箇所はありますが、オーバーに描写することで、話を面白くしているのも事実なのです。

それはそれで矛盾しないように伏線の回収もシッカリしているのも、たぶん内藤さんの持ち味でしょう。


想像の配役と現実の配役のギャップ

私は読書の時、読みながら頭の中で映像が浮かんで、映画のように再生される状態になります。
いったん読書を中断する時は、頭の中の映像は「一時停止」状態で、また読み始めたら「再生」されるみたいな感じです。

主人公を含めた登場人物も、その文章の描写から頭の中に忠実に再生されるのが常なのですが、この藤堂比奈子は「水卜麻美アナウンサー」でした。

私が文章から拾った映像は彼女そのものでした。

ところが、
読了後に、ドラマ化されていることを知った私は、びっくりしたのです。

ドラマの藤堂役は「波留」さんだったのですねー!

もちろん彼女は綺麗で背が高くてスタイルの良い素晴らいし女優さんです。
私も朝ドラ「あさが来た」では夢中になりました。

しかしながら、
イメージが違い過ぎる。

他の配役を確認してみても、イメージが違っていました。
ついでにそのドラマのレビュー記事も読んでみたのですが、やはり原作とは大きな開きがあったとの事でした。

しかし、原作を読まずにドラマを観てしまったら、主役のイメージは「波留」さんで固まってしまうのでしょうね。

すみません。
私は、このドラマは観ません、
せっかく作り上げた想像の映像が壊されていたら、ツッコミ三昧してしまいそうなので。

よくあるのです。
原作を読んだ後に、映画化やドラマ化されたのを観てみると、あまりにも大きなギャップに打ちのめされることが。

逆は、むしろアリだと思うのです。
後で原作を読むことで、新たな発見があったり、深い所を認識できたりするので、がっかりする確率は下がるのです。

例外もあったりしますが、おおよそは原作に勝るものはないと思います。

この作品もそうですね。
他の人が読めば水卜アナウンサーではないかもしれませんが、できるならこのシリーズを読了した人達に 誰を想像したかアンケートを採ってみると、おもしろい結果になるかも知れません。

もし、このシリーズを読まれた方がおられたら、是非教えてください。
あなたが想像した藤堂比奈子は誰ですか?


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千世(ちせ)
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