千木良悠子「橋本治『草薙の剣』論(上)」を読む
現在発売中の「文學界」2024年1月号に、千木良悠子さんによる「『草薙の剣』論」が掲載されている。
『草薙の剣』の主役は時代である、と言い切ったうえで、謎解きをしていく。この論文を書くために重要な箇所を抜書きした要約と年表を作ったと書かれていた。
私は『人工島戦記』を研究することだけは決めているけれど、その先がどうにも進まなくて、焦っていた。今日、髪を切りに行って、シャンプーしてもらいながら、自分の研究を進めるためにはその作業をしなきゃいけないんだと覚悟が決まった。『人工島』はやっぱ長いし、始めたら膨大な作業になりそうだしで腰が重くなっていた。雑誌原稿との突き合わせをやったときにも物語の展開を順に追って書き始めていたが、まだ粗い。章ごとにやる。
私は橋本治読者なので、読み手の自発的な行動が促されるような文章を良い文章と思っているフシがどこかにある。千木良さんの『草薙の剣』論は、一読者が動かされるだけの力がある文章だったのだと思う。読んだ私が自分の研究に向かう覚悟を決めたように。そういえば千木良さんの『桃尻娘』論のときも、読後『桃尻娘』全巻読み直したのだった。
来月号には『草薙の剣』論の後編が載るようなので楽しみだ。
…というのを読んで、私はやっぱり読む量が全然足りてないんだと思った。
研究書ではないけど、最近も本はたくさん買ってるし借りてるし読んでる。買ったのは與那覇潤『危機のいま古典を読む』、斎藤真理子『本の栞にぶら下がる』、トーマス・S・マラニー+クリストファー・レア『リサーチのはじめかた』。與那覇潤さんの本はいくつか並行して読んでいる『知性は死なない』、『心を病んだらいけないの?』など。