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夫婦でハワイの古民家を再生させる

アメリカ人の夫と共にハワイ島ヒロに越して3年。この間、自分達が暮らす家を含めて夫婦で2件の古民家を修繕し再生させた。夫は元コントラクター、日本で言うというところの大工だ。

現在進行中の3件目となる家は、ヒロから車で40分程の「ボルケーノ」と呼ばれる山間部に建つ築103年のコテージ。

夫によれば、築100年クラスの家に使われている材木は今となっては簡単には手に入れることができない程の品質だという。それは、今よりもずっと木材が豊富だった当時、一般の民家や家屋にも建築資材として質の高い材木が使用されていたから。しかも木材は年月を経ることで自然乾燥が進み、その強度を増す。

我々はできる限り古材を残すか、または再利用し、再利用の場合は適材適所に使える場所を探しながら家の修繕を進めている。

オリジナルの古材の風合いを生かしたダイニングエリアの壁

古い釘を抜き、表面をやすりで削り、光沢液やペンキを塗ると、古材は見事に蘇る。そしてそこにはホームセンターで買ってきた新しい材木には決してない、独特の風合いが宿っている。時を刻んだ古材から発せられるエネルギーは、優しく、あたたかい。

壊れて開かなくなった窓枠の古材を利用して作ったベッドサイドテーブル

我々がこれまでに再生させた古民家はいずれも長い年月、手入れをされずにネグレクトされてきたいわゆる「元ボロ家」だ。最初は足を踏み入れるのも憚られるような状態だった家が、一か月、二カ月と作業を進めるうちに少しずつ息を吹き返してくる。愛情をかければかけるだけ、家はちゃんとそれに呼応して輝きを取り戻す。家が喜んでいるのを感じる。

Before: 修繕前のキッチン
After: 修繕後のキッチン

庭仕事をしていると、ゲート越しにご近所の人に声をかけられることがある。ついこの間までボロ家だった家が見違えるようにきれいになると、ご近所の人は当然だがとても喜ぶ。近隣の環境が良くなることで、その方自身の家の価値も上がる。古民家再生は家も喜び、近隣住民も喜び、我々も喜ぶ、みんなが喜ぶプロジェクトだ。

3件目の家もそろそろ完成が近い。夫は、古い家は常にどこかしら修繕する箇所があるから終わりはない、と嬉しそうだ。

今日もまた、修繕する箇所を見つけては嬉々として作業を続ける夫と私。

古材と、古い家を残し、再生させる。我々夫婦が未来のためにできることであり、楽しみながらやっていることでもある。

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