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読書人間📚『エゴイストの回想』ダウスン/南條武則 訳
百年文庫『響』ヴァーグナー/ホフマン/ダウスンから
『エゴイストの回想』ダウスン/南條武則 訳
1888年発表/短編集『ディレンマ』収録
アーネスト・クリストファー・ダウスン Ernest Dowson (1867〜1900年)
ロンドン生まれ。詩人、作家。
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ダウスンは、23歳から8年もの間、叶わぬ片想いをし続け、彼女は他の人と結婚。そんな矢先1894年、体の悪かった父が自殺、翌年には、母が後を追い自殺。経済的にはもちろん、心も蝕まれ酒に溺れ、そもそも病弱だったのもあり、32歳の若さで亡くなる。
そんな人生の中で1888年に発表されたこの作品。年齢は21歳頃の作品でしょうか。まだ、長い片思いは始まっていない時ですね。
うーん、なかなかなエゴイズムをお持ちの主人公。苦楽を共にした可愛い彼女を踏み台に音楽家としてのし上がっていく。
なんだか、どこかで聞いたような話で、わたしにはひと言、気色の悪い男と言った感じ。
彼女の行方がわからずとも構わず、なのに、彼女のふっくら柔らかな頬を思い出し懐かしむ。それって性癖ですか?。
彼女に生活を支えてもらいながら、彼女のオルガンを卑下する。主人公のヴァイオリンの腕前は確かなものだったかもしれないが、あまりにも。
ストラディヴァリウスという名器が、彼をそうさせたのか、財力、力を持ったが為にそうさせたのか、あるいは、そもそもの人格が破綻していたのか。
正解はそもそもでしょう。
彼女との生活を、憂愁として回想し、その回想を至高の快楽とうつつをぬかす。
やっぱりどこかで聞いたようなこの話。
世の中の、優秀な音楽家が、エゴイストではないとも言い切れない。己に陶酔するからこそ、上り詰めるのかもしれない。はぁ、わたしには何とも言い難い。
この作品は、『アーネスト・ダウスン作品集』岩波文庫
を定本としています。
ダウスンの翻訳作品は、少ない為、百年文庫『響』に収められているのは、とても感心です。
ですが、百年文庫のこの『響』は品切れ、重版未定のものです。
運良く、倉庫に1冊在庫がありましたものを購入させて頂けました。
気になる方は、古書店、図書館などでお探しください。
『100年文庫13 響』
2010年 第一刷発行
発行 株式会社ポプラ社
装画 安井寿磨子
装丁・題字 緒方修一
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同録、二作品も以下も合わせてどうぞ。
『クレスペル顧問官』『ベートーヴェンまいり』
♟声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。
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