読書人間📚『日々の泡』ボリス・ヴィアン/曽根元吉 訳
『日々の泡』ボリス・ヴィアン/曽根元吉 訳
1970年 新潮社刊行
ボリス・ヴィアン
別名義 ヴァーノン・サリバン
ジャストランペット奏者、作詞作曲家。小説、戯曲を執筆。
これはどうやら"まとも"に読んではいけないやつか。と探りさぐり用心深く読み進める。
ひょっとするとファンタジー? 現実と交差する虚の世界をヴィアンの独創的な言葉あそびと造語で綴られる。
読み慣れない混乱の中、不思議と引きこまれる。
愛する人の為に、地道に労働者となる者もいれば、愛する人の散財を止めるため、全てを焼き払う者もいる。
愛した人との関係は必ずしも幸せな形を成していくわけではなく、いつかは別れが訪れる。
別れのときまで支え合い愛を絶やさない人生と、反して富を食い潰し、幸せを捥ぎ取るそれらに悲しみ、破滅へ向かう悲痛な二つの恋物語。
ヴィアンが音楽、芸術に営み、日々感じていた世界で創り出された作品でしょうか。
ヴィアンがどんな暮らしをしていたのか、愛の中にあったのか、満足しながら生きていたのか、考えます。
1946年『墓に唾をかけろ』のヴァーノン・サリヴァン(別名義)作、鈴木創士訳の存在を知っていましたが、わたしは未読。
どういったものか気になります。
と言うのも本作の訳は難しかったことだろうと思います。わたしには随分古い訳にも感じるのですが52年前程。それ程古いわけではありません。
1947年『うたかたの日々』の題名で、野崎歓さんの翻訳もあり、そちらも気になるところ。
フランス文学、ヴィアンの現代的、前衛世界をまた新たな訳でも読んでみたいです。
カバー装画 Estate of Ben Shahn
VAGA, New York & SPDA, Tokyo,1998
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