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岩波少年文庫を全部読む。(108)剛速球なのに変化球。ヴィクトリア朝長篇ファンタジーの至宝(+親指小僧にかんする附録) ジョージ・マクドナルド『お姫さまとゴブリンの物語』

ジョージ・マクドナルド『お姫さまとゴブリンの物語』(1872。脇明子訳、岩波少年文庫)は、ヴィクトリア朝の長篇ファンタジーの「剛速球なのに変化球」。
骨太な作品です。

不思議な〈おばあさま〉

ある大きな国は、どこまで行っても荒涼とした山岳地帯でした。だからお城も山奥にあります。
王の娘、8歳のアイリーン姫は、寂しい暮らしをしています。母君はもう亡くなっていて、父王はいつも留守。乳母のルーティだけが話相手です。

王国の近くにある鉱山にはゴブリンたちが巣食っています。王国の表社会から排除されて久しい彼らは、人間への復讐心を滾らせています。姫はそのことを知らずに育ちました。

ある雨の日、姫は退屈しのぎに居城の、行ったことのないフロアを探検し、知らない部屋でひとりのミステリアスな銀髪の美女と出逢います。
美女はアイリーンと同じ名を名乗り、姫の〈お父さんのお母さんのお父さんのお母さん〉、つまり高祖母(ひいひいおばあさん)なのだと言います。銀髪とはいえ、見た目は若い美女ですが、100歳を超えているというのです。
以下この人物は、語り手にも姫にも〈おばあさま〉と呼ばれることになります。

姫はもといたフロアに戻って、この話を乳母にしますが、乳母は信じません。
翌日、姫は高祖母の部屋を再訪しようとしてどうしても行き着けず、保母に我儘を言っていっしょに外出し、帰りが遅くなって、日没後にゴブリンに追いかけられます。
ふたりは少年鉱夫カーディに助けられ、アイリーンはカーディにいい印象をいだきました。

ゴブリンの陰謀

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