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pasteltime
僕の彼女は想像の 斜め上行く人見知り
「私、知らない人ってムリなんだ。」
彼女の第一声は意味不明なカミングアウトだった。
天然丸出しでマンガ好きの彼女をコミケのイベントに誘ったときに言われた返事だ。
初デートの計画を必死に考えた。夜1時までかかった。眠くはないけど目はウサギのように充血した。OKしてもらいたくて考え抜いた僕の誘いは、ほんの一言で撃沈した。
「そうなんだ。でも僕も一緒だよ」
「そうだけど…」
彼女のうつむく仕草で、これは無理だと理解した。
「じゃあ映画はどう?」
「映画くらいなら…」
行ってもいいが、乗り気じゃない、多少の国語力とコミュニケーション能力があれば、その程度はわかる。
「じゃあ、どこなら良いの?」
いつの間にか僕は行っても良い前提で話していた。
「どこって…」
彼女はもじもじしてる。
女ゴコロは複雑で、僕の想像の遙か斜め上を行く。この頃の僕はそんな事も知らなかった。
「あの、、、ディズニーがいいな♥️」
彼女はぎこちなくも可愛らしい表情をしてそう言った。
えっ、そこって知らない人ばっかじゃん!思わずそう言いそうになって、慌てて口を閉じた。
「あ、いいね、僕も意外と好きなんだ」
「行きたいんだ、じゃ、行こ」
「わかった。じゃ、いつにしよっか」
何とか話を繋いで、彼女との初デートが決まった。
ディズニーは夢の国、知らない人なんていないよね。二人の間ではこの件以降、そういうことになった。
(イラスト ふうちゃんさん)