個人的お気に入り、才能に嫉妬した方々を勝手に紹介します②「カッパを見たので話を聞いてほしい」
今回はエッセイのなんたるかを教えてくれた、いや教えて頂いたtoi(とい)さんの「カッパを見たので話を聞いてほしい」です。
唐突なカミングアウトですが、ボクはエッセイが書けません。持病の発達障害傾向のお陰で、僕には相手へ共感する能力が著しく低いのです。エッセイを書く上で共感力がないってのは…です。
ということでtoiさんの秀逸なエッセイ、「カッパを見たので話を聞いてほしい」を紹介させて頂きます。カッパを見たという女友だちと二人、おごり焼肉を楽しんだというお話です。
ドラマにもなった「東京タラレバ娘」ご存じでしょうか?独身アラサー女子の生態を面白おかしく描いたマンガなのですが、そこに出てきそうなやりとりや描写の数々。一部だけここに紹介しますが、遠慮のない姉がそうするような、色気ではない女子の心情や仕草がリアルに描かれています。母親しか女子がいない家庭に育った僕には結構鮮烈な描写が続きます。
その場の光景が目に浮かぶような描写、表情までもが目に浮かぶような描写、これぞエッセイですね。見事です。語調のリズム感も良くて、おごり焼肉の臨場感を感じます。女子のホンネってこういうヤツ、が味わえます。
宴もたけなわ、盛り上がりの描写がスゴい。僕がtoiさんの弟なら、アラサー女子がガラ悪くでき上がってるだけじゃねーか、とでも言ったのでしょうが、「虚構の神輿」とまで表現された日には、もう負けしかありません。
話自体が意外性の塊でしたが、さらに意外をぶっ込んでくるこの秀逸さ、もう見事しか言えません。芥川にもランボーにもできない芸当です。
オチに向かっていくこの儚い感じの醸し方も見事です。リンクで飛べるので、ボクの拙い解説より、もう読んだ方が早いです。
エッセイ書くならこんな風にって思われた方、ぜひ参考にして下さい。僕も「海辺にて」を書いた時、toiさんの軽妙なリズムや言い回しを随分と参考にさせて頂きました。先生と呼ばせて頂きます、ありがとうございます。
語感やリズム感まで気にしだすと、もう音楽に近いですね。軽快なリズムに乗せたtoiさんの流れてくような文章、一度堪能してみてはいかがでしょうか。
「エアコン…」も「妖怪に..」もオススメです。気分転換に、楽しくなりたい時、元気になりたい時にぜひ、どうぞ。
toiさん、これからも楽しい作品待ってます。
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