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キツネなシッポと遊びましょ、の話エピソード4その②令和のサバイバル

とりあえず話④を読んで頂ければココの世界観が伝わります。
うっすーい世界観でスイマセン。日々に疲れたら、そんな時にぜひどうぞ。
今回は感動作を目指してます。それにしてもシッポって、どうなったんでしょうね。

とりあえずボクは数時間かけて台所を何とか片付けた。ロウソクの灯の下では割れたガラスと散らかった何かの液体の後始末が大変だったが、新聞紙に包んで箱に詰めておいた。水道から水がでたので、出る分だけ鍋にとっておいた。水さえあれば人間は数日生きていけるから、誰かがいつか、そんなことを言っていたのを思いだした。きっと、大丈夫。少なくとも今のボクには奥さんがいればそれで大丈夫なんだと、そう思った。

現状お風呂には入れない。でも水はあるし、カセットコンロも持ってるから、身体くらいは拭ける。トイレに流す用の水もお風呂に供えてある。洗濯は手で済ませれば何とかなる。そう、ボクらには水も食料も備えもあるから、だから何も心配いらないって話をボクは奥さんに話して、安心してもらえた。少しだけ、休みたい。そう言われてボクは奥さんを寝室まで抱きかかえて寝かせておいた。何も心配はいらないから。根拠は何もない。でもそれでも良いんだ。ボクが何とかすれば良い、それだけのことだ。

夜も更けた頃にベランダに出てみた。煙は上がっていない。少し離れた大通りには歩いて家を目指す人達の列が延々と続いていた。ゴメンなさい。助けてあげたいけど、今のボクには奥さんを守るのに精一杯だから。ボクは並んで歩く人の列を見るのが辛くなって窓を閉めた。奥さんは静かな寝息を立てて寝入っていた。安心してくれたようだ。ボクは思い出したように押し入れからポータブルのバッテリーを探し出して、スイッチを入れてみた。良かった、残は75%程度だが電源は生きていた。これでスマホのバッテリー切れも心配ない。数日は本当に生きていける。さっきベランダで話した数件隣の人にも電源を貸してあげられる。後で話に行こう、そう思った。

カセットコンロでお湯を沸かして、奥さんの身体を拭けるようにした。緊張で汗をかいたって、恥ずかしそうにするからボクは黙って隣の部屋から着替えを持ってきた。奥さんは黙って着替えてくれた。お腹は空かないって言うから、ボクは紅茶を入れて奥さんに持って行った。奥さんはまだ眠いようだ、いや、怖い夢を思い出してまだ震えているようだ。ボクはしばらく奥さんのそばで、しょーもない話をただ聞いて欲しくてずっと話していた。奥さんは静かにずっと聞いていて、もう寝るね、そう言って目を閉じた。

もうすぐ夜明けになる時分だろうか、空がうっすらと白み始めた頃に奥さんのいる寝室から声が聞こえた。見に行くと奥さんがお腹を抱えて辛そうにしていた。お腹が痛いの、そう言って奥さんはお腹を抱えてうずくまっていた。いつもと違う様子に、ボクはただ事ではないことがわかった。

…この時ボクは初めて自分を囲んでる世界が音を立てて崩れていくような、そんな音が聞えたような気がした。


(イラスト ふうちゃんさん)


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