見出し画像

映画【Kiss of the spider woman】

画像はすべてAmazon Primeの映画予告動画をキャプチャさせて頂いています。

日本語タイトルは「蜘蛛女のキス」

その昔、夜通しひとり受験勉強に精を出していた頃、ふと深夜にテレビをつけた時に偶然見た映画です。先ほどgoogleで検索してみたら、なんと主演のゲイ役のお兄さんが当時のアカデミー賞で主演男優賞とってました…スゴい。まだ世間では馴染みのない世界を描いて、それでいて他を圧倒する演技力、これがアカデミー賞ってヤツなんでしょうね。失礼しました。

とにかくこのゲイ役の方の演技、静かなる迫力がスゴいのです。

Amazon Primeで探したら、ありました。でも「このビデオは、現在、
お住まいの地域では視聴できません」
だそうです。残念。でも予告編だけでもその雰囲気は十分に味わえます。

1986年に公開されたこの映画ですが、ボクが見たのはずっと後だったと思います。当時はとんねるずが「連続テレビ小説 保毛尾田家の人々」という、LGBTを全否定&傷つけまくるって精神的暴力満載なお笑い文化がまだまかり通った時代でしたから、令和の方が見たら目がテンになるような話ですね。なので多分世俗の方々にはこの世界観は到底理解できないだろうなって、そう思ってました。

↓Amazon Primeより予告編の解説文をどうぞ。

銀の糸が二人をからめたその時、彼は彼の愛に応えはじめた。ラテン文学の巨匠マヌエル・プイグが描く異端の愛。監獄という閉ざされた空間で絡み合う二人の男の愛と憎しみ、そして夢・・・ファシズムが台頭する南米の某国を舞台に、ある政治犯と同性愛者の交流を描く南米の刑務所の監房の中。同じ房に入れられている二人の男。ひとりは政治犯のバレンティン。もうひとりのモリーナはホモセクシュアルで風紀罪に問われていた。同房に居合せながらまったく別の世界をもつ二人。しかし、バレンティンはその話にうんざりし、同志と全く連絡もとれず茫然とただ時を過ごす毎日だった――。

Amazon Prime 映画「蜘蛛女のキス」より

Once upon a time in a tropical island, far away…
There lived a strange woman…
むかしむかし、はるか遠くの南の島に、
奇妙な女がひとり暮らしていた..
(辞書によれば「strange woman」は風俗嬢の俗称なので、多分コッチの意味が正しいのだと思います。遠い異国の島に住んでいた、不思議なプレイに興じるナゾの風俗女性、そんなイメージでしょうか。)
こんな冒頭の語りではじまるこの映画ですが、設定は独裁政権が支配する南米のとある国。そこの刑務所で薄暗い監獄に入れられた二人の男。かたや政治犯で投獄され、自分の無力さに憔悴しょうすいし落ち込む髭面ひげづら男のバレンティン。かたや何を考えてるのかも良く分からない、昔の映画の話を楽しそうに話して聞かせる物腰柔らなゲイのモリーナ。モリーナは陰鬱とした牢獄にあっても精一杯キレイに身を纏い、何も諦めた感はなく、夢見る日々を過ごしています。

命がけで独裁政治に対抗して政治活動を続けるバレンティンの姿は、明日も見えない浪人時代の自分と被りました。そこに訳の分からない強烈キャラのゲイのモリーナさんの登場です。現実に打ちのめされ、必死にあらがおうとしてイライラし、焦り、孤独にさいなまれます。先が見えない毎日を過ごすことの苦痛。でもモリーナさんは悠長に昔の映画の話なんかして辛い現実を受け入れているようで、その中で強く逞しく、楽しんで生きようとしています。

当時の時代背景で言えば、南米のチリでは軍事クーデターの後、ピノチェトが1990年代まで独裁政治を敷いていた時代でした。スティング様というイングランドの有名な歌手が当時「They dance alone」という歌でピノチェト政権に抗議し話題になってました。平和な日本では想像もつかないコトですね。

寛容、受容、忍耐、共存。色々と教わったように思います。

熾烈しれつな拷問に心が折れそうになるバレンティン。そんな彼の生き様に徐々に心を寄せるゲイのモリーナ。きづけば二人は心を通わせ、一夜を共にすると魂が交錯していきます。スパイ活動の報酬として開放されたモリーナは反体制派に加担し、独裁政権の追っ手に銃殺されてしまいます。そして一方バレンティンは投獄生活の中、現実逃避をするかのようにモリーナに聞かされた映画【蜘蛛女のキス】の世界に自分の意識を沈めていくようになっていくのです。夢の中、バレンティンはつかの間の幸せを味わうようになりました…こうしてふたりの現実世界が交錯して映画は終わります。

当時の僕には映画の本質は見えていませんでした。ただただ不条理な世界に抗うバレンティンの苦悩に同調し、ゲイのモリーナさんを異端視しつつもその生き様に何とはなしに惹かれてしまうのでした。僕が未知の「多様性の世界」に触れた瞬間なのかもしれません。はたしてどちらが強いと言えるのか? とても見た目や思想の程度では推し量れない、深遠なる問題だと思います。

もう古典の世界に分類されてしまう映画ですが、もし機会があれば一度観ても後悔はないと思います。むかしむかし観た中で心惹かれた映画、それはこんな映画でした。

YouTubeに海賊版を発見しました。全編観れちゃいそう。いいんでしょうか。
どなたか英語に堪能な方がいらしたら教えて欲しいのですが、ゲイ役のモリーナさんの英語が流暢でキレイな発音で、結構イイトコの方の発音に聞こえるのですが、どういうことなんでしょうね?
どういう設定?っていい歳になって、そんな事を思ってしまいました。字幕設定を日本語にしたら、ギリ理解可能な日本語字幕で見れますよ。得意な方はもちろん英語のまままで。コッチの方が雰囲気まで伝わって、ホントステキです。当時理解できなかったモリーナさんのスゴいトコが分かるような気がします。


最後になりましたが、スティング様と言えばコレ。映画【LEON】のエンディング曲、Shape of My Heartです。映画の思い出のシーンとともに楽しめる動画です。
低予算にしてリュックベッソンの最高傑作ですね。ジャン・レノをはじめ個性派キャラの共演がスゴいんです。



ストックが尽きたので数日お休みです。皆さま、お元気で。
ごまさん、真文さん、元気?遠慮せんとコメント待ってますね。
文子さん元気?vivieさんも?心配してるんですよ。これでも。


いいなと思ったら応援しよう!