【第216回】第2回災害に強い地域づくりに寄与する医療の在り方に関する意見交換会の模様
質問 「第2回災害に強い地域づくりに寄与する医療の在り方に関する意見交換会」について教えてください。
概要
➀災害に強い地域づくりに寄与する医療の在り方に関する意見交換会とは
②地区防災計画モデル事業を踏まえ、地域づくりに寄与する医療の在り方について議論
③主なプログラム
解説
➀災害に強い地域づくりに寄与する医療の在り方に関する意見交換会とは
12月17日(火)に「第2回災害に強い地域づくりに寄与する医療の在り方に関する意見交換会」が開催されました。
この意見交換会は、地区防災計画学会に所属されている伊藤弘人先生(東北医科薬科大学医学部教授)が中心となって進められているもので、地区防災計画学会等で報告された防災組織と医療の連携に関する取組等が広がっているものです。
②地区防災計画モデル事業等を踏まえ、地域づくりに寄与する医療の在り方について議論
本意見交換会では、伊藤先生が内閣府の地区防災計画アドバイザリーボードの委員として支援をされている2024年度内閣府地区防災計画モデル事業の対象地区である千葉県富里市日吉台小学校区の事例が紹介されました。
この小学校区では、全国で初めて、避難訓練時に避難所内救護所を住民がボランティアで設置しました。その模様について、富里市役所の防災担当職員、同小学校区の役員、医療関係者等が登壇して報告が行われました。
また、各地域での取組ということで、東北医科薬科大学の近隣にある福室地域、長野県の松本地域、愛媛県の松山地域の医療関係者等が登壇し、各地区での医療活動を踏まえた、地域との連携や支援及び受援の在り方についての問題点等が紹介されました。
また、これらを受けて、東京消防庁OBの野口英一様から、地区防災計画制度の在り方とも絡む実践的なコメントが寄せられたほか、最後に丸山嘉一先生(日本赤十字社)及び有賀徹先生(労働者健康安全機構)から、このような取組の有用性を高く評価するコメントが寄せられました。
本意見交換会の中では、伊藤先生から、防災を切り口にした医療・介護・保健とコミュニティの防災活動のゆるやかな連携に着目して説明が行われ、それらの防災活動と地域包括ケアシステムを総合した「地域防災包括ケアシステム」という新しい概念が提唱された点が注目されます。
また、地区防災計画に関する医療側から見た意義として、(互助による)避難所内救護所での対応によって、(公助・共助が対応する)発災時の医療の急増を抑制し、医療機関が災害医療に集中できるようになるほか、避難所内救護所での医療資格を有する住民による緊急時の無償で善意の支援行為に対する訴訟リスクを、日頃からのコミュニティ内でのコミュニケ―ションによって作成された地区防災計画が「吸収」できる可能性があるのではないかという指摘もありました。