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情報に接した時の”考え方”を6種類にまとめてみた(読書録: 『遅いインターネット』)

この本の結論は、突き詰めると「目の前に流れてくる情報について、”YES / NO”や"スキ / キライ"といったプリミティブな感情判断(と、それに基づく発信)をするのではなく、自分できちんと”考え”ましょう」といったことだ。それを、著者の活動や、著者のモノの見方(様々な対立軸が設定されている)を提示しながら、ゆっくり、ゆっくりと提示している。正直、結論(本文の後半20%)を補強するために、前段があるといった感じで、読後感としては、「こんだけツラツラ書いておいて、イイタイコトってそれだけなの??」という”物足りなさ”を感じた。情報に振り回されて、自分でもどうすればいいのかわからない人にはオススメだが、「他人の意見や(自分を取り巻く世界の)"世論"に流されず、自分で事実を基に考える必要がある」ことを自覚している人にとっては、読む必要はないだろう。

まあ、そうはいっても、本書の前半80%を読むなかで、著者が持っている世間の見方(の一部)に触れられたのは、面白くはあった。「自分/他人 x 日常/非日常」という2軸の設定や、「映像の世紀からインターネット(仮想現実)の世紀へ」「Anywhereな人とSomewhereな人」といった見方を得ることができたのは(著者オリジナルではなかったとしても)良かったなと思う。

この本では、「情報に接して”考える”こと」を、「新たな問いを設定すること」としているが、正直、この本を読んでも「じゃあどう考えればいいの?」という”ハウツー”は手に入らない(著者が冒頭で述べるように「これは答えを提示する本ではない」からでもあるし、「考えたい人は、著者が立ち上げようとしているウェブメディアに入ってね♡」という宣伝をしたいからでもあると思う)。そこで、自分なりに「情報と向き合ったときの考え方」を整理してみた。もちろんこれがすべてではないが、何かの参考になればうれしい。全部で6つある。

・情報が持つ前提・偏見を考える
・情報が根拠とする事実を基に別の「解釈」ができないか考える
・情報によって引き起こされる「次の事象」を推測する
・同時代に起きた異なる事象との共通点を見つける
・異なる時代に起きた同じような現象との共通点を見つける
・情報と関連する事象をまとめて、2軸で整理してみる

情報が持つ前提・偏見を考える

おおよその情報は「客観的事実+主観的意見」で構成されているわけだが、意見に潜む”前提”や”偏見”は何か、を考える。「○○はいい/悪い」という価値判断だったり、「××なのは△△だからだ」という(根拠のない)因果関係を見つけることができれば、その是非を問うてみる。

情報が根拠とする事実を基に別の「解釈」ができないか考える

情報から「事実」を抽出し、それらを基に「別の解釈」ができないかを検討する。「事実”なのに”意見」に対して「事実”だから”意見」という形になったり、「事実”だから”A」に対して「事実”だから”not A」になったりする。

情報によって引き起こされる「次の事象」を推測する

ある情報に接したときに「次に何が起こるか?」を推測する。とくにこのコロナウイルスなど、突発的事象に対しては「次は何?」という思考がやりやすいと思う。できれば、その際の思考を振り返りできるように残しておき、現実と照らし合わせるとさらに面白いだろう。

同時代に起きた異なる事象との共通点を見つける

同時代の別事象との共通点を探ることで、個別具体の事例を抽象化できる。『遅いインターネット』では、トランプ大統領の当選とBrexitの共通点を論じていた。

異なる時代に起きた同じような現象との共通点を見つける

時代をさかのぼり、同じような現象との共通点を見つけることも考える指針としてアリだと思う(ひとつ前の発想は共時的、この発想は経時的と言われる)。例えば「鎌倉時代における元寇と、江戸時代における黒船来航について、日本の当事者たちの受け止め方」を比較し、共通点(と、相違点)を見つけ出す、という感じだ。

情報と関連する事象をまとめて、2軸で整理してみる

似たような事象を集めてグルーピングする。その際に、「2つの軸」を意識するといい。情報が整理されるし、思わぬ共通点・相違点を見つけることができる。同時に、「この象限に当てはまることは何だろうか?」と思考を深めることができる。

以上、「問いの立て方」を自分なりにまとめてみた。何かの役に立てばうれしい。

【おすすめ度】

★★★☆☆


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