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臨床心理士と考える【不登校について大切なこと】

書いている人=相山智美。公立の幼稚園〜中学校のスクールカウンセラーを20年以上担当。並行して教育相談員、子育て支援ワーカー、発達療育主任など務める、子ども専門の臨床心理士。公認心理師、トラウマの身体指向療法:S E®︎プラクティショナー

2022年【一般社団法人この花舎】を立ち上げ、聴くだけではないカウンセリング、心と身体の関係を重視する身体指向性の心理学を取り入れた、保護者向け子育てプログラムや支援者育成にも力を入れている。

第1章:はじめに〜不登校と私

 私の、不登校との出会いは、中学生の頃のクラスに学校を休んでいた子がいたことに遡ります。私自身も時々、理由もなく学校を休みたいと思うことがあったので、当時の私は、勇気を持って休むという選択をしたその子を(実際には、行きたくても行けない状況だったのかもしれませんが)、尊敬の気持ちで見ていたのを覚えています。

 その後、高校生の頃に、マザーテレサの本を読んだことがきっかけで心理学部へ進みました。大学生の頃にA D H Dと言われていた子どもと出会い発達についてを学び始め、知れば知るほど他人事とは思えず、『子どもの心と発達』を専門にした臨床心理士になることを決めて今に至ります。

 不登校のお子さんや親御さんと多く出会うことになったのは、20年前のこと、スクールカウンセラーを始めてからです。

 昔も今も、相談の8割以上は『不登校』という現状がありますが、時代の移り変わりとともに変わってきていることがあります。それは、平成では発達障がいや発達の凸凹が絡んだ相談が増えていましたが、コロナ禍を通して、子どもたちの不安感の増加や、トラウマや多様性がテーマになっている相談が増えてきていることです。


第2章:我が子が不登校になったら

 国の報告やメディアからは「不登校の数が過去最高」、「無理に学校に行かせなくてもいい」というような情報が多く見られる昨今です。

 ただ、我が身に降りかかると「そうですか。分かりました」とすぐに不登校の状態を受け入れるのは難しいことです。気持ちや考えの整理をしたり、情報や支え、仲間がほしい、そんなふうに感じるのではないでしょうか。

 もしくは、どこで誰に相談してよいか分からないと思っている間に、相談しても学校に行くわけではないと諦めてしまったりすることもあるかもしれません。

 地域には、まだまだ不登校支援の体制は十分とは言えませんが、子どもや子育ての助けになりたい、教育、福祉、医療、司法など様々な分野の支援者がいます。

 また学校内にも、担任や管理職、養護教諭、特別支援や別室登校などの相談に乗ってくれる支援者がいます。ちなみに、私のようなスクールカウンセラーは、公立学校では各学校に一人以上配置されています。

 スクールカウンセラーは、子どもや子育ての相談を受けたり、子どもとの直接的な関わりやカウンセリングを継続的に行ったり、状況やタイミングによっては、他の支援者へつなぎ連携したりする役割もあるため、まずは一番近くの窓口としても気軽に利用できます。



第3章:最初に伝えたい不登校の3つのこと

まず最初に、前提として以下のことを強調してから始めたいと思います。

 ◉不登校=悪いことではない。義務教育とは言ってもルール違反でも何でもない。

その裏付けとして、文科省から出ている不登校支援の通知の一部をご紹介したいと思います。

不登校児童生徒への支援は”学校に登校する”という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す。

文科省:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)より一文のみ抜き出し


そして、次に強調したいのが

◉不登校という経験をしたからこそ出会える、出来事、感情、考え方、人との縁がある。

ということです。以下に、不登校を経験して卒業していった子どもたちの声を載せます。

「自分は自分のペースでいいんだって思えるようになった。」「学校に行けなかった日々はさなぎの時代だった。今は羽が生えてきたよう。」「無駄な時間を過ごしている気がしていたけれど、無駄じゃなかったって思える出会いがあった」

 そして3つ目の最後に、強調したいのは
 ◉「学校に行く-行かない」という結果や、「困った行動」だけに注目せず、背景や経過を見ていくこと。

 私たちは、「不登校」という状態だけ、つまり「学校に行く-行かない」という目に見える行動だけに注目しがちですが、この二者択一の考え方、○か✖️か、白か黒かという考え方をすることで、子どもも親自身もつらくなっていきます。行かない原因は何なのかを問い詰めることになったり、将来へのハンディになると脅したり、学校に行ったらご褒美をあげるなどの条件を提示するなどの直線的な考え方も、不登校の状態を深刻化させることになります。

 学校に「行く-行かない」は、まず脇に置いておきましょう。それよりも、背景や個性に興味を持つことがまずは大切です。

 背景には、認知面(物事の考え方や受け取り方、情報処理の仕方や学習面など)、身体面(自律神経の状態や、睡眠食事運動などの生活面)、感情面(表現やコミュニケーションなど)で何が起こっているのか見ていくことで、より理解が深まっていきます。これらは、子ども家庭メンタルサポーター養成講座や保護者向けペアレントプログラムなどでお伝えしていることで、ぜひ多くの支援者の方に知ってほしい内容です。

 このマガジンでは、不登校の状態はどのように変化していくのか、時期ごとの特徴や対応についてを書いていこうと思っています。

 記事は、マガジン【不登校の回復までの4つの段階と道のり〜子どものカウンセリングと保護者相談から見えてきたこと】の中に続きを書いていきたいと思っています。フォローやシェアよろしくお願いします。

https://note.com/chikako_ai_hana/m/me42fb071cb39


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一般社団法人この花舎
聴くだけではないカウンセリング、心と身体の関係を重視する身体指向性の心理学を取り入れた、保護者向け子育てプログラムや子ども支援者研修・育成を行なっています。公式LINE登録や定期相談会なども開いています。

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