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梅が咲いたら[詩]


梅花を縁取る緩やかな曲線が
たどり着いた季節を和ませる
ハチドリにつつかれるような
くすぐったい痛みの喜びに
重ねた幾年が迫りくる

包まる布が引き裂かれんとする時
手機の仕事が清らかな星を上げ
見えなくても此処にいたと
端から知っていたのだと
かの日の涙腺が教えた

厳寒の時を越え膨らむつぼみを
幼子のまなこで見つめ続け
ためらわず手を差し出す者に
もうその時が近いことが
蚕の絹をもって告げられる

水が温みこの梅花が咲いたなら
不可解な塊などではなく
丸みを帯びた花びらの曲線を
共に並び立って愛でる日を
きっと現となさしめよう












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