光と影
私の中にあるその存在に
ずっと気付かなかった。
いや、
気付かないフリを
していただけなのかもしれない。
静かに、穏やかに、
強い光を放ちながら
ドッシリと佇んでいる。
その正体を理解したとき
私は戸惑い、自分を責めた。
そんなものを抱えていてはいけない、と。
─── だってそれは「怒り」だったから。
それは
誰かを傷付けようという
鋭さはなく
むしろ心の傷を優しく包み、
温かく、でも力強く守ってくれている。
この怒りという名の物体は
間違いなく影だけど
そこには同時に
強い光がある。
この光を外に放つことが
私にはできるかもしれない。
この光で
何かを表現できるかもしれない。
そう思えたとき
怒りという物体は
私の大切な一部となった。
どんな感情も
私に芽生えた愛おしいもの。
否定も肯定もすることなく
その声に耳を傾ける。
私は誰より、
私の味方なんだから。