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読書レビュー #1:朝井リョウ 『武道館』

パンプス、苦手なんです。「量産型就活用パンプス」みたいなのとか。つま先痛いし、階段の昇り降り難しいし、何より転びそうになるし。
だから、ヒールつきのパンプス履いて、笑顔でパフォーマンスしているアイドルの足元、思わず見ちゃうんですよね。
痛くないのかなーって。
これって、私だけですかね?


さて、今回は『武道館』(朝井リョウ著)の読書レビューです。

1. 作品紹介

(あらすじはリンク先をご覧ください)
主人公・愛子(あいこ)の視点で物語は進みます。キラキラ輝くアイドルを描いただけの小説ではないです。アイドル好きにも、興味ない人にも、オススメしたい。

2. 読書レビュー(ネタバレ注意)



愛子の人間らしいところ、とても好きです。水着商法、特典付きCDでの売り上げ向上、グループ加入前の恋愛...。アイドルの一挙手一投足には賛否両論がつきもので、でも大抵は「否」の意見が目に付く。

「慣れれば、怒ったりしないで流せるようになるから」

アイドルとして長く芸能界に残るなら、波奈(はな)の言葉は正しいと思います。でも、

「怒るって、ふつうのことじゃん。人間として」

という愛子の意見はもっともだと思います。

ネットで叩かれても、ライブ続きで疲れていても、パフオーマンス中に足が痛くても、笑顔でいる「idle」としての側面だけじゃなく、
いろんなことに傷ついて、素直に怒り、苛立つ感情も忘れない「人間」としての側面も含めて一人のアイドルだから、
そういう全てをまるっと受け入れて好きでいたいなと改めて思いました。

なので、この物語の結末は、結構好きです。でも、たぶん納得しない人はいるんだろうし、私の方が少数派なのかもな...。
これまた賛否両論あり。世の中、正解がないことも多いですね。

3. 好きな言葉

「何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ」

諦めているようで、未来を見つめているこの言葉が好きです。
かなりの頻度で今の状況を選んで良かったのかなって迷うこと、多いんですけど、
未来の自分が「うん、悪くない、いい感じ」って言えるように、
今を頑張ろう、そう思わせてくれる言葉です。

けど、「今」はどうしようもなく一瞬で過ぎ去ってしまって
慌ただしく何かを選ばなきゃ行けないからこそ

大切な人に教えてもらったように
「本当に本当に大事なこと」は
ゆっくり、じっくり考えて自分なりに答えを出して
「今」の自分も「未来」の自分も納得して前に進んでいきたいなって思います。

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