子供に寂しい思いをさせない母親でいたかった
(7才の息子から悪ガキやらかしエピソードを2つ聞かされた後の話)
「なんか俺最近、すっごく軽く言えるようになったんよね、こういうこと」
「へぇ、悪いことした、ってわざわざ話すの、私だったら無理かなって。だって私、自分の母親に怒られるの嫌だもん。」
「うーん、俺の場合は、マミーに怒られないって分かってるから、かな。マミーは話聞いてくれるけん……マミーは優しいけん。」
そう話してくれた息子の横顔が妙に自慢げで嬉しそうで、
平静を装いながらも、内心とても複雑な心境だった。
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「母親は、子供に寂しい思いをさせないために精一杯頑張らなくてはならない」
4年前に一度目の復職をした時の私は、そんなメッセージを全身で発していたように思う。
繊細で心の優しい母親想いの彼は私の顔色を伺い、
「お仕事頑張ってね」
「待ってるからね」
「僕も頑張るからね」
などと私を一生懸命安心させてくれた。
私は、わずか3才の彼の、優しいウソを見抜くことができなかった。
寂しさが原因の皮膚疾患が出て家族という題で自分の顔を真っ黒に塗り潰した絵を描くまで、
彼の心の孤独に気付けなかったのだ。
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二度目の休職期間からコーチングを学び始めて3年半。
ようやく、一筋の光が見えたような気がする。
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子育てのゴールを見直し、
そこから翻って日々のコミュニケーションを見直し、
彼に遺せるものがたった一つだけ許されるとしたらなんだろう?
繰り返し考え続けた。
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悲しい想いをさせない母親じゃなくていい。
悲しい想いをも安心して吐露できる相手でありたい。
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(彼に寂しさを感じさせないよう頑張ることで私はいつしか、彼の感情を無意識にコントロールしようとしていたんだな……)
その代償は大きく、
彼には人の顔色を伺うところがある。
「分からない」「忘れた」と言って意見が衝突することを避け、現実から逃げるところもある。
育てたように子は育つ。
彼にそうさせたのは母親の私だ。
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今回の彼の変化を受け、
改めてコーチングを通じて
・自分の押し付けに気づけた
・譲れない信念に気づけた
・子育てのゴールを決めることができた
・自分を褒める基準を自分の中に作ることができた
・日々のコミュニケーションの目標ができた
・我が子に深く興味がもてるようになった
・私と彼は他人であると自覚できた
・他人と自分と彼を比べなくなった
・彼を一人の人間として尊重できるようになった
・安易なやり取りをしなくなった
・彼に謝れるようになった
・彼に相談するようになった
・子育ての相談をできる人が増えた
といった変化が私にもあったことを考えると、
試行錯誤しながらの3年半、
彼と自分自身から逃げなくて本当に良かったと思う。
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一緒に過ごす時間は短くても、
その時間を濃く過ごすことさえできれば、
きっと私達はもっと深いところで応援しあえる。
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彼と過ごせる時間は月50時間程度だけど、
これから先も続いていくだろう彼との関係性の強化プロセスが楽しみでならない。
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母親としても人間としてもまだまだのびしろいっぱいの私だけど、
また今日から頑張りたいと思う。