Münchner Philharmoniker 25.06.23 コンサートの記録:グスターヴォ・ヒメノ指揮ミュンヘン・フィル(ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)
6月25日、ミュンヘン・フィルのコンサートを聴きました(イザールフィルハルモニー)。
青空が広がる爽やかな夏日です。
プログラム。
表紙はナジェジダ・フォン・メック。チャイコフスキーの支援者です。
二人は一度も会うこともなく、14年にわたり文通を続けました。手紙は1204通にのぼります。
チャイコフスキーの《交響曲第4番》は「私の最高の友に」という献辞がありますが、これは彼女のことを意味しています。名前を明記しなかったのは、彼女の希望によるものです。
この日の指揮にはサントゥ=マティアス・ロウヴァリが予定されていたのですが、急病でキャンセル、代わりにグスタヴォ・ヒメノが飛び込みました。
プログラムは予定通りでした。
このプログラムはミュンヘン・フィルとミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学の音楽学部との共同制作です。9人の学生たちがプログラムのコンセプトをたて、文章を書いています。
バルトーク《ヴァイオリン協奏曲第1番》のソリストはパトリシア・コパチンスカヤ。
この曲は「セイフ(金庫)」行きになってしまった作品です。
演奏後のコパチンスカヤ本人による説明を紹介しますと、
作品の世界初演は1958年5月30日、シュテフィの死から1年半後でした。
シュテフィの遺言で、パウル・ザッハーが指揮しました。
さて、作品の冒頭、ヴァイオリンのソロで「レ・ファ#・ラ・ド#」と演奏されますが、これは『シュテフィ・モチーフ』とよばれ、繰り返し形を変えて引用されます。
コパチンスカヤはこれを、
不思議な音列なので、「なんてことでしょう」と言うのかと思ったら、
と続け、聴衆は大爆笑。
また、第2楽章に民謡風のメロディーが出てくるのですが、それには以下のような歌詞を付けて歌われていたのではないかということを音楽学の学生が見つけ出したそうです。
Der Esel ist ein dummes Tier,
Der Elefant kann nichts dafür.
(ロバはおバカな動物よ、それってゾウさん関係ないし)
これはウィルヘルム・ブッシュの詩です。
ブッシュはドイツ人なら誰でも知ってる《マックスとモーリッツ》の作者で風刺画家としても有名です。
コパチンスカヤは聴衆とオーケストラを4つのグループに分けて、この詞をつけたヴァイオリン協奏曲中のメロディーをみんなにカノンで歌わせました。
上記の詞の後には「イーアー、イーアー、イーアー、イーアー」と付けて、
ここで、モーツァルトが聴衆のことをよく「ロバ」と言っていたことを思い出しました。ちなみに当時の聴衆は王族や貴族、教会関係者でした。
最後にオーケストラがみんなの歌に合わせて該当部分を演奏し、
コパチンスカヤ、相変わらず、裸足で登場。
演奏も飛び抜けて魅力的ですが、おしゃべりも声もとびきりチャーミングでした。
FOTO:©️Kishi
以下はミュンヘン・フィルから提供された写真です。©️Co Merz
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