Bayerisches Staatsorchester 08.07.23 コンサートの記録:ユロフスキ指揮バイエルン州立管、創立500年記念コンサート(ミュンヘン、ナツィオナールテアター)
7月8日、ミュンヘンのナツィオナールテアターで、ウラディミール・ユロフスキ指揮バイエルン州立管のコンサートを聴きました。
バイエルン州立管はバイエルン州立オペラのオーケストラ、ユロフスキは同オペラの音楽総監督です。
バイエルン州立管は今年、創立500年を迎えました。
https://note.com/chihomikishi/n/n1a2288eaf3d8
7月8日、ナツィオナールテアターからわずか300メートルほどのオデオンスプラッツでは同じ時刻にBRSO(バイエルン放送響)がクリスティアン・ティーレマン指揮でシーズン掉尾を飾る野外コンサートを開いていました。
下の写真、右側が入口です。
プログラムはオール・ヴェルディ。
前半はヴェルディのオペラ作品から。
後半はヴェルディ《聖歌詩篇》。
テレビ中継をやっており、前半の途中から観たのですが、この《聖歌詩篇》、素晴らしいの一言でした。
バイエルン放送協会はバイエルン放送合唱団という合唱団も抱えており、この合唱が秀逸なことも大きな理由です。
この内的な傑作を野外コンサートで演奏するというのも奇抜なアイディアだとは思います。
ティーレマンは暗譜で指揮、テレビなので指揮する表情も細かく見えました。
さて、私が行ったコンサートです。
オペラ劇場専属のオーケストラではないBRSOがオペラ作曲家ヴェルディの作品を演奏するすぐ近くで、オペラ劇場専属のオーケストラであるバイエルン州立管が演奏したのはオペラ作品ではなく、オール・R.シュトラウス・プログラム。もちろんR.シュトラウスもオペラ作品の傑作をおくりだしていますが、今回はオペラ作品ではありません。それも、室内オーケストラの編成です。
休憩後の1曲目、《少女の花》には、スター・ソプラノ歌手のマルリース・ペーターゼンが登場しました。
《少女の花》Op.22は1886/7年作曲。当時20代半ばだったシュトラウスは「何ヶ月も作曲する気分になれなかった。ある夜、詩集を手に取ったところ、突然これに曲をつける気になり、10分で書き上げた」としています。
この作品にはのちに妻となるソプラノ歌手パウリーネへの想いが込められています。
元々ソプラノとピアノのための曲だったのですが、エバーハルト・クローケがピアノ部分を室内オーケストラに編曲したものを演奏しました(この版の世界初演は2021年、ベルリン・コンツェルトハウス)。
クローケは逆のパターン(大曲を室内アンサンブルに編曲する)も手がけており、コロナ禍時には《トリスタンとイゾルデ》、《ばらの騎士》を観ました。
21年3月21日、バイエルン州立オペラがストリーミングで出した《ばらの騎士》もオーケストラは室内楽版で、クローケの編曲によるものでした。
ちなみに19世紀終わり〜20世紀初頭にはシェーンベルクの弟子たちがマーラーやブルックナーなど大がかりな作品を室内オーケストラや室内楽版に編曲したものがたくさんあり、魅力的なものが揃っています。
https://note.com/chihomikishi/n/nf0698dd26657
コロナ禍ではペトレンコ指揮ベルリン・フィルがマーラー《交響曲第4番》をストリーミングで送っています。
このような室内楽版、室内オーケストラでは楽曲のエキスを、音楽の醍醐味を味わうことができます。
もちろん編曲が良いことが前提です。
FOTO:©️Kishi
以下はバイエルン州立オペラから提供された写真です。© Wilfried Hösl
1曲目《管楽器のためのソナチネ》
2曲目《少女の花》
3曲目《23の弦楽器のためのメタモルフォーゼン》
バイエルン州立管の創立500年を記念した本が出版されました。
特に、20世紀と21世紀、同劇場で活躍した指揮者たちの仕事ぶりとインタヴューなど、288ページに156の写真が掲載されています。
ISBN 978-3-7618-2642-3 · BVK04020 · 39,95 €
コンサートの休憩に入る前にユロフスキがこの本を紹介しました。
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