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ニューヨーカーと日本人のメンタリティ|暮らすように旅してみるニューヨーク編

ニューヨークは夢や成功を追い求める街。という勝手な上っ面なイメージをちょっと改めたくなる気づきがあった。

ニューヨークである著者とお話をしていたときに、
「ニューヨークの本屋には、『memoir(個人の体験記)』というカテゴリが必ずある」ということを教えてもらった。

「日本で伝記や体験記といえば、成功者のものばかり。大きく成功しない人の生き様に価値がないみたい」とも言っていた。
確かに、日本にそのジャンルがないのは、需要がないからだろう。

memoirとは、有名でない人が、自分の体験記を本にしたものだ。

ニューヨークで、memoirを読む人は、決して有名でも成功者でもない著者の生き方に共感したり、自分の人生のヒントにしたりするそうだ。
「有名だから偉いわけではない」ということが根付いているのは、どんな人からでも学べる素養があるということだ。
ニューヨークの多くの人は、大成功を追い求めているわけではないのかもしれない。

日本だと、経済的に成功した人や、有名な人、スポーツなどで成果を上げた人の本がよく売れる。無名の人の伝記は売れないだろう。
それは、権威に弱い日本人のメンタリティが現れているような気がした。

日本では、自己啓発の本も売れる。
わたしも自己啓発本を出版したことがある。出版依頼が来るまで、ほとんど読んだことがなかったが、執筆の参考に、自己啓発本を一気読みした。レビューもさらった。

それで気づいたことは、みんな「これが正解だ」と決めつけて欲しいのではないかということだった。
権威に弱く、思考停止してる。そんなメンタリティの人が一定程度いるのが日本なのかもしれない。良くも悪くも何もしなくても生きていけるのが日本。

そのせいか、日本は成長したい人にとっては、足かせが多い。変人扱いされたりする。
だから、ニューヨークで自分を試したいという気持ちになるのはよくわかる。日本のように国籍や年齢や性別でジャッジされにくい。

それに、memoirのような一般人の小さな成功や失敗から、本質に気づく力をニューヨーカーが持っているとすれば、思考力や成長力ではとてもかなわない。

ニューヨークは、夢や成功を追い求める街というイメージだったけれど、大成功だけが価値あることではない。日本より偏見なく、純粋に力を試せるのがニューヨーク。
ニューヨークは、どんな人にでも自分の能力を試す土壌がある街という1つ深いところが見えた気がした。

などと考えながら、ニューヨークの本屋を訪ねた。
memoirの棚を横目に手に取ったのは、写真の多いレシピ本。文字を読むことをできるだけ回避したい思考停止人間なわたしなのだから、人のことは言えない。(需要がないと翻訳本もないんだろうな…)


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芳中 千裕|Chihiro Yoshinaka
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