-「いい」はどこだ。- Archive | 徒小僧企画展vol.01
さまざまな問いに対して遊び心を持って実験する集団、
「徒小僧(いたずらこぞう)」として初めての企画展を行いました。
その時の活動記録になります。
きっかけと制作意図
メンバーのひとりが「偽物と本物」をテーマにした展示がしたいと言い出したのが始まりでした。
詳しく内容を聞くとコピーの作品だったり、人工的に作られたものだったり、少し前までは「偽物」と言われてきたモノたちが技術の発展により「本物」を凌駕するクオリティになってきているのではないか?という疑問からそんなテーマが浮かんだそうです。
そこからメンバーで話し合う内に「自然と人工」や「ポジティブとネガティブ」など様々なテーマが乱立してきたところで、結局やってみたいのは「価値観の再認識」ということに整理され、今回の『「いい」はどこだ。』というタイトルになりました。
世の中で「いい」とされてきたもの。それらを一度リセットして、改めて自分の「いい」と思うものを考えてみる。もしそんなことがこの展示を通して出来れば最高の「いたずら」ができると。
展示内容:4つの「問い」から見えるもの
展示は4つの問いと展示物から自分の価値観の再確認を目的とした構成となっています。
01.媒体 『見方を変えて見える世界は同じものか?』
写真が壁一面に貼り付けられています。
ただ、その写真はさまざまな「媒体」を用いて出力されています。
光沢紙、マット紙、トレーシングペーパー(イラストの下書きなどに使用される半透明の紙)、タブレット、、、などなど
「写真は紙で印刷するのが一番でしょ。」という思い込みがこの問いの始まり。
私の中で現像された写真に勝るものはないと思っていました。そこに印刷用の紙じゃなくてもいい、映像でもいいと凝り固まった価値観を揺るがしてくるのがこの作品です。
実際に目で見るとトレーシングペーパーの滲んだ感じだったり、タブレットでのパキッとした映像だったりが美しく見えて「それもいいな」と思わせてくれます。
02.価値 『「モノ」の真価を見極められているか?』
丁寧に展示されたボルトとネジ。。。
普段、よく取り扱うものでなければ、こんな演出をされたら触りづらくなってしまうのではないでしょうか。
続いては演出によって価値が揺らいでしまうことに着目した展示です。
何てことないただのボルトとネジですが、まるで高級なものかのように添えられた布と手袋がその価値を錯覚させます。
素手で触ると錆びてしまう? 特殊な素材? それとも歴史的な何か?
そのものに対して知識がなければ想像によって勝手に付加価値がついてしまいます。モノの価値について改めて問いかけてきます。
03.生活 『幻想に馳せすぎて足元を疎かにしていないか?』
よく見かける大量生産可能な品々。
「量産品に価値はない」と決めつけていませんか?
普段、大量に生産されているということは大量に消費されているということです。つまり、多くの人に使われてきたものたち。
つい、煌びやかであったり、希少価値のあるものに目を奪われがちですが、目立たないけど確実に私達の基盤となって支えてくれているものにも一度目を向けてみてはどうでしょうか。
04.物語 『自分でみつけた解を愛しているか?』
価値観の見直しをして視野が広がったところで
改めて、あなたはどんなものを「いい」と感じるのか?
と問い直してくるのがこの作品です。
テーブルの上にコンクリートブロックと枯れ木が積み上げられています。
よくみると大きさも断面も色もバラバラで360°見る視点によって違う表情をします。自分なりの気づきや発見、そして妄想があなただけの物語を創造します。
あなたは「いい」と思う表情を見い出し、「私はここが好きなんだ」と主張することができるでしょうか?
当日の様子
当日来てくださった方々は非常に前向きにこのテーマに向き合って下さいました。面白がって作品を見つめて、触れて、考えて下さいました。
展示を通して価値観について新たな発見がたくさんありましたが、それについては別の記事でまとめたいと思います。
人の対話するのが楽しく感じられた一日でした。
また、会場まで足を運んで下さった方々には本当に感謝致します。ありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?