自販機巡りをすすめられ
最近は詩を投稿してるが、今回はそこから離れ書評兼体験談とでもいうべき記事を書くことにした。私の創作における軸とでもいうべき作品と受けた影響についてのお話だ。
人の死生観は様々だろう。もし、寿命を売ることができたら、そんなテーマの小説が私のバイブルだ。タイトルは「三日間の幸福」三秋縋先生の著作である。この小説で主人公は自身の寿命の大半をお金に換えてしまう。その買取金額はなんと一年につき一万円。そんなスタートから始まるこの小説。ジャンルとしては恋愛小説に入るのだろうが、それ以上のものであるように私は思っている。
実際、私はこの小説を読んだことで死生観にまで影響を受けた。具体的なことはネタバレになるので伏せざるおえない。読み終えた時に私の言っていることがわかってもらえるのではないだろうか。是非一度読んでみてほしいと思う。
ともかくこの小説が私の創作における一つの目標であることは間違いない。正直、ネタバレを避けるために読んでみてほしいとしか言えないのが悔しいと書きながら思っている。
念の為言っておくが人によっては結構メンタルにくる内容なので調子が悪い時は読まない方がいい小説だ。そこだけは注意してほしい。
実を言うと通しで読んだのは一回だけで二回目以降は章ごとに分けたりして読み直している。
この小説の一章に「自販機巡りのすすめ」という章がある。この章で主人公は自販機が好きだと語る。ヒロインの解説曰く割り切った関係とか、不変性とか、永遠性のようなものを感じさせるのだとか。
私もこれには理解を示せるタイプの人間だ。日本では当たり前にあり、お金を入れれば飲み物などを提供してくれる。ビジネスライクな関係。正直スーパーで買うよりも気楽ではあると思う。(かなり割高ではあるが)
そしてここからが本題、この章で自販機が好きな主人公は彼曰く愚直なやり方で自販機を撮影し続ける。ヒロインそっちのけで撮影し続ける。その姿がなぜか羨ましかったのだろうか、私も真似をし始めた。
いくつかのポイントを主人公は語っている。周辺まで撮り、その自販機がどういった場所に、どのような様子で佇んでいるかを記録すること。「写真を撮っている。」という実感を得ながら撮影すること。(この実感を得るために主人公はフィルムカメラを使用する。私も同じくフィルムカメラを使用した。)
その他にも細かなポイントがあるが私は特にこの2点を意識した。こうして始まった自販機巡り。聖地巡礼のような感覚を持って私なりのやり方で撮影してみた。山の中から都会まで様々な場所で撮影してみた結果、その自販機が持つ物語を少し写し込めた気がする。
自販機があるということは、そこで買う人がいることと同義だ。どんな物を、どのような気分で買うのか。笑いながらアイスを買う人、悲しそうにコーヒーを買う人。そんな物語を淡々と見送り続ける自販機を撮ることでそれをわずかにだが感じることができた気がする。
別に写真を撮る必要はないし、極論自販機である必要はない。ただ、何かに物語を感じることは創作において重要な気がした。
だから、私も自販機巡りをこの記事を読んでくださったあなたに勧めてみる。あなたなりの自販機巡りをしてみてはいかがだろうか。
地平線
余談 自販機巡りの際に撮った写真をまとめてみたので是非あわせてご覧ください。また巡ることがあれば追加するかも。
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