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定型の辺境を(野村日魚子歌集『百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た』)
野村日魚子歌集『百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た』(2022年、ナナロク社)は、近代短歌でありがちな個々の私生活の視点ではなく、神話のような視点から、生きること死ぬことについて描くエネルギッシュな歌集だ。その荒々しいエネルギーは、破調の歌の多さにも表れている。本稿では、主に同歌集の韻律について論じる。(引用歌は全て同歌集より。) 1 破調の歌の読解 「私」もしくは神視点が、震えている犬を眺めている、と読んだ。