読書:歌峰由子『陰陽師と天狗眼 ―クシナダ異聞・怨鬼の章― 』(11/30読了)

かつてなく凶悪な存在を相手に、各々の苦悩と苦戦がヒリつくシリーズ第四弾でした。
二年目の美郷、協力経験のある怜路に加え、特自災害へ異動した広瀬が向かうのは、「神楽面が消えた」という隣市の事件。

霊感のレの字もないけれど、指示に従い手伝うことはできる。美郷と生きる世界が違うことを思い知りながらも、“その他一般”でいたくないと願う広瀬の葛藤がとても印象的でした。

一方で美郷や怜路が“一般人”と共に立ち回る中で難しさやミスを痛感し、己の特殊さや立場に付き纏う問題に直面するのも。

今回の事件って、追っている鬼女面が実体ある人間を巻き込んでいたり、怪異に馴染みのない警察官らも多く関わっていたりする点でかなり難題なんですよね。鬼女面そのものの厄介さ、凶悪さもあって。
体力的にも精神的にも酷く削られる戦いを強いられている。
どんな決着を見るのか想像もつかない。

そんな中で、美郷に起きた変化ってもの凄く大きくて。
親身になってくれる人にほど漏らせないと、独りで抱え続けてきた、独りで抱えて行くものと思っていた夢想を、こぼす場面が忘れられないんです。
それに、怜路が返した言葉も。

彼らの在り方、関係性はやはり惹かれるところ。続きが楽しみ!

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