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品川区のオーガニック給食に思うこと


このニュースについて、私の周りでは賞賛の声が多く、思うところがありすぎるので、ちょっと書きます。

最初に言っときますが、私はオーガニック大好きです。
個人的によく買いますし、オーガニック農家さんを応援したいとも思います。

でも私は、学校給食をオーガニックにするのは「反対」です。

私は保育園給食に関する仕事をしています。
現場で動く管理栄養士さんや調理師さんとやり取りしながら、給食監修をしています。

いくつか監修している園の中には、認可外保育園で、オーガニック給食のところもあります。

以上の経験・知見から、オーガニック給食は、3つの点で問題があると考えます。

食育に興味ある人、お子さんがいる人、特に、オーガニックいいじゃん!って思っている人ほど、読んでほしい。


①目的を達成するための手段として不適切。

そもそも事の発端は、2023年の給食の無償化から「質が落ちた」「おいしい給食を食べたい」という意見が出ており、今回、安心・安全な給食の提供で、給食の質をはかるらしい。


この

おいしい給食が食べたい
   ↓
野菜をオーガニックにする

これに、めちゃくちゃ論理飛躍があるんですけど大丈夫ですか!


なぜなら、オーガニック野菜が普通に農薬使って作られる野菜より「おいしい」という科学的なエビデンスは存在しません。

いや、屁理屈言ってんじゃなくてね。

野菜が美味しくなるとすれば、それは化学農薬の有無ではなく、農家さんの技術です。あとは流通時間が短さ。
現状、オーガニックで野菜が美味しくなるというデータはどう頑張っても取れていない。

同様に、オーガニック野菜の方が「安全である」「栄養がある」というエビデンスもありません。(選食力クラスで話してるとおり、安全に関しては、普通の野菜の方が安全だったりする)

ちなみに、品川区立小学校の先月のとある献立はこちら


うーむ。。
「質を上げる」「給食をおいしくする」ことが目的なら、
まず肉や魚などの食材の種類、量ともに増やすのが先決では?
献立を考え直そうよ!

オーガニックにする前にやるべきことがたくさんある!!!!



②確実に質の低下に繋がる、これは子どものためにならない

オーガニックにこだわることでまず最初に上がるのが、原価です。マジで尋常じゃなく跳ね上がります。今回の会見でも、その分のコスト2800万円とのことです。(そんなんで済むのかねえと思うけども)
オーガニック野菜はコストの割に、秀品率(収穫量に占める良品の割合)が低く、欠品率が高いです。
私の監修していた保育園は小規模園だったので、調達が特に大変でした。
欠品があったら、調理の方が、買いに行くんですよ。しかも、オーガニックという縛りがあるので一番近いスーパーでは買えない。
自転車でちょっと遠いオーガニックおいてあるスーパーまでわざわざ買い出しに行って補填する。
加えて、予算内で常にカツカツなので、廃棄ができず、新鮮でない野菜を使うことも少なからずありました。


もっと大規模な品川区全ての学校給食ですから、食糧調達や調理の現場に、多大なる負担と混乱が予想されます。
そうなれば、どうなるか。
現場に負担がかかると、辞める人が増えるんです。
「また募集すればいいじゃん」って?

全然いないんですよ!!!人が!!

飲食業界も、保育の現場もですが、今は労働力が圧倒的にたりてないんです。
過酷な現場には、作り手がいなくなる。
こうした人的制約は、確実に質の低下に繋がります。

野菜だけオーガニックで、全体的な質の低下。
意味あるんですか?


③子どもにオーガニック洗脳
私はこれが反対する一番大きな理由です。

これだけ高額な公的資金を投入するなら、当然「オーガニックは良いんです(ドヤ)」って主張になる。
科学的なエビデンスもないのに、オーガニックの方がいい!という洗脳を子どもにすることになる。

こんな差別思想は、小学生の食育として、絶対に許されるべきではない。

今ですら、オーガニックの推進は、非科学的な主張とセットになりやすい。
オーガニックは、環境負荷が低い点で、とても尊いですが、安全、栄養がある、おいしいわけではないんです。
オーガニックで感染症が激減、アトピー改善、発達障害が改善なんて、めちゃくちゃな疑似科学も主張されています。



そもそも、農水省が出してる「緑の食糧システム戦略」(選食力クラスでチラッと話してます)は、超絶無理があるんです。このまま他の地方自治体が追随してオーガニック給食を取り入れ通づけたら、食材枯渇、偽造が横行し日本のオーガニックは破綻すると思う。
これについては、また別の機会に力説します。


繰り返しになりますが、オーガニックは、尊いですし私も大好きです。
子どもにオーガニックを食べさせたい親心もわかります。
ただ、栄養、量、安全、価格全てをバランスよく供給しなくてはいけない「学校給食」には確実に向かないです。

オーガニック野菜に2800万円の予算を割くのは費用対効果が悪すぎ、税金の無駄使いです。


とけいじからは、以上です。

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