本感想「オードリー・タン私はこう思考する」人と共に(共好)が思考の根底で意外だった
きっかけ 夫が尊敬するオードリー・タンさんの新刊。天才で教育についても熱心な方なので、考え方を知りたくて読んでみました。
オードリー・タンさんはIQ160の天才で、不登校から独学し、AppleでSiriを開発そ、台湾でデジタル担当大臣になった方です。
本では「学びも仕事も人と一緒に」と強調。 学校行く行かないに関わらず、人と何かをするスキルを伸ばすのが、教育には大事だなと再確認しました。
印象に残ったこと①「独学とは家にこもることでは無い」
IQ160という賢さや持病から来る体質などから不登校で学んだオードリー。独学は家で1人でするもの、という世間の思い込みがあるが、独学の人ほどコミュニティにつながって孤独に陥らないようにする必要があるとのこと。討論をしてこそ、知識に価値が生まれるとのこと。
→独学といっても、人と一緒に意見を交わしながら学ぶのが良いのですね。学校に行かなかったとしてもコミュニケーションは大事ですね。
印象に残ったこと②チームでの仕事の動き方と効果的な会議
仕事はチームで、命令は下さず、メンバー自身に目標を設定させる。
トップダウン方式ではなく(命令されると自ら何かを生み出す力が弱まるから)、問題があったらリーダーが意見を聞いて、皆で意見を出し合えばいい。そして現場の意見も聞くこと。
オードリーのチームでは、「大まかな合意」に達するための会議を行っている。
焦点討論法ORID
事実や現況を観察する Objective
感情や反応を語る Reflective
解釈を見つける Interpretive
次の行動を決定する Decisional
参加者から出された問題について、デジタルホワイトボードで意見を集約。その後に分類する。
・証明可能な事実→青い付箋
・それらの事実がもたらす感想→黄色い付箋
・感想から導かれたより具体的な提案→緑の付箋
・提案のうち実行可能なもの→オレンジの付箋
まずはみんなの自由な発言を広く集め、考えを少しずつまとめて、会議におけるもっとも重要な目的、すなわち「実行可能な行動」へと導いていく。
→仕事術においても、人とのつながりややりとりを重視しているオードリー。「競争から共好へ」というキーワードが体現するものってこういうことなんだなあ、と。
私自身は、教室運営は完全に一人でやっていて、悩むことも多かったけど、一人でやるならしょうがないことですね。子育て講座の講師業は、主催者や参加者の方と意見を合わせながらで進めることも多く、人の意見があるとうまくいくことも多いので、フィードバックをいただきながらの仕事がよいなあと改めて思いました。
印象に残ったこと③「知識はオンライン、実務はオフライン」
知識の習得はオンラインで、一時停止したり繰り返し見たり、調べたり、質問したりしながらの学習が向いているとのこと。ただし、作業など実務になるとオフラインで集まっての学習が向いているとのこと。
読書も、調べながらや、他のアクセスをしながらが向いていたり、ネットワークの時代はウィキペディアのように、人々の力で完成されていくだろうとのこと。
他にも、「役に立たない人間」になるよう学ぶという独特の表現で、人間らしさを大切にする学び、競争よりも受け入れる教育が必要とのことにとても共感しました。
→オンライン学習に関してはUdemy動画講座を提供する側なので、オンライン学習の効果はあるのだと嬉しくなります。子どもの接し方そのものは動画で教えて、実際の接し方の練習講座やフォロー会はオフラインやZOOM上でやったりするなどの、今後の仕事の方向性に示唆がありました。
感想と、自分にできることは何か?
賢い人の言うことはわりと共通しているもので、塾に入って勉強させてもらってる樺沢紫苑先生と言っていることが似ている部分も。仕事術や睡眠・食事などの体調管理、良質インプットのためのネットとの付き合い方、記憶力や集中力への取り組みなど。そうしたことを私も取り入れて、よりよい自分を目指していきたいです。
AI時代の今後については、誰も予想がつかない部分もありますが、SF小説が未来について思考するトレーニングとのこと。
テッド・チャン著『あなたの人生の物語』(その中に収録されている『理解』もおすすめとのこと)、『予期される未来』(短編集『息吹』に収録)、イアン・M・バンクスのカルチャーシリーズ(イーロン・マスクとザッカーバーグも愛読)などがおすすめとのこと。SF小説はふだん読むことはないですが、手に取ってみたいと思いました。
オードリー・タンはギフテッドで早熟の天才なのですが、孤高の人というわけでなく、多くの人とのつながりながら、意見に耳を傾けながら、行動を考えていく考えが根底にあるようで、少し意外でしたが、大切なことなのだと改めて思いました。「共好」、私も心がけていこうと思います。