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【勝手に読書感想部】さんかく:千早茜
[あらすじ]
フリーランスのグラフィックデザイナー、高村。
高村のかつてのバイト先の後輩、伊藤。
伊藤の彼女で研究者の華。
「三角関係」と呼ぶにはふんわりしすぎている3人の関係性、食に対する向き合い方を軸に物語が展開していく。
[ネタバレと感想]
*以下ネタバレ含みますので、まだ読まれていな方はご注意ください。
四季折々の京都のくらしの風景と、美味しそうなお料理が魅力的であっという間に読み終わってしまいました。
美味しいものを一緒に食べて、「美味しいね」って言い合える関係は、時に恋愛関係以上の深いつながりに思えることもあるんだ。
この作品を読んで、そう感じました。
そんな2人の独特な関係にはとても敵わないって感じるけど、だからって相手のために自分を変えることもできない華ちゃんの悔しさも理解できて、切なかったです。
わたしの周りのフリーランスのデザイナーさんって、自己肯定感がやたら高くて、中身のない自分の論理を人に押し付けがちな人が多いけど(ごめんなさい、本当に自分の周りの人に対する個人的な感想です。笑)彼女は優しいのに芯が強くて、自分がブレない。すごくステキな女性に描かれています。
同じデザイナーとしても、高村さんのような強さと優しさ、丁寧な生活に憧れます。
この本のメインテーマである、食事。
作中に出てくるお料理はどれも本当に美味しそうで、伊藤くんが高村さんとの食生活に依存しちゃう気持ちもわかる気がしますね。
読み進める読者(わたし)感情が、居心地が良すぎて高村さんに依存している伊藤くんと全く一緒の感覚で、残ページ数が残り僅かになってきたときの淋しさが半端なかった。笑
もっとずっと読んでいたい、って。
テーマ的には少しどろっとしているのに、なぜかゆったりとした空気が流れている物語。
大好きな作品の1つになりました。