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【勝手に読書感想部】死んだ石井の大群:金子玲介

あらすじ

真っ白な部屋に集められた333人の石井。
ここに至るまでの記憶はなく、首にはいかにもな感じの首輪が取り付けられている。
これから始まる「デスゲーム」で勝ち残った1人だけが生き残れる。

・当たったらアウトのドッジボール
・禁語を言ったらアウトのしりとり
・後出しはアウトのじゃんけん

文字通り、アウトになれば首につけられた爆弾が爆発し、頭が吹っ飛ぶというルール。


ネタバレと感想

*以下ネタバレ含みますので、まだ読まれていな方はご注意ください。


デスゲームものって悪趣味で好きじゃない・・・
簡単に人が死んでいく描写がきつい・・・
なんて思いつつも、このドキドキ緊張感に心が支配されてしまう。
中学生の時、「バトルロワイヤル」という長い長い小説を一気に読んだ時の記憶が蘇りました。

主催者の目的も、自分がなぜここにいるのかもわからないまま、自分以外の石井の首が次々に吹っ飛んでいく。
とんでもなく張り詰めた緊張感がやばかったです。
特に、「禁語を踏んだら死亡のしりとり」の唯の心理描写がエグくて。
読み進めながらもちょっと酸欠気味で、、自分の心臓の鼓動が速くなっていた気がします。

救われたのは、デスゲの唯パートと伏見の探偵パートが変わりばんこに描かれていたこと。
生死の間でなんとか「生」を掴もうともがく石井たちの切羽詰まった場面が続くと読者の身が持ちません・・・笑
探偵助手の蜂須賀の無神経で空気を読まないキャラクターや、伏見との緊張感のないやりとりに心が緩みました。
田中ファイナルウエポンのくだりに至っては声出して笑ってしまいました。

だけど、そんな緊張感のないちょっと抜けた所のあるただのサブキャラかと思っていた蜂須賀が、最終盤に鋭すぎる観察眼で真相を見抜くところは圧巻でしたね。

「多重人格」オチもすごくしっくり腑に落ちて、最後はほっこりしました。
一緒にいた334の人格は消えてしまったけど、みんな有一の中にいたんだっていう事実が、これからの有一の人生を支えてくれるんだろうと信じられるような結末で、よかったなーって思います。
これまでのデスゲームの緊張感が嘘みたいな優しいエンドでしたね。

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